Hey! Say! JUMP、Sexy Zone、ジャニーズWEST……コロナ禍に支持された理由と特色 「ジャニーズ楽曲大賞」を受けて考察
今年も、非公式ながら2万人を超えるジャニーズファンが参加した企画「ジャニーズ楽曲大賞2020」が開催されました。主催者の言葉を借りると「ジャニヲタの総意ではない」ものの、ジャニーズ事務所所属アーティストがその年に発表した楽曲やMVに対して、これだけ大規模にファンの支持を知ることができる企画は大変貴重であり、私もその結果を毎年注目しています。ここでは、「ジャニーズ楽曲大賞2020」の結果を通じて、ジャニーズのファンに支持された楽曲の特徴について、主催者に最大級の敬意を表しつつ振り返ります。
コロナ禍に揺れた2020年でしたが、実はリリースされた楽曲数は、例年と比較しても多い年でした。楽曲部門の対象となるCDをリリースしたグループ数が、SixTONES、Snow ManのCDデビューにより増えたことも影響しています。しかし、それを差し引いても、積極的に作品を発表したグループが多かったことがわかります。
表1:楽曲部門の対象曲数と対象グループ数(過去5年分)
対象年/対象曲数/対象グループ数
2016年/260曲/19組
2017年/226曲/16組
2018年/285曲/18組
2019年/242曲/15組
2020年/283曲/19組
注目された楽曲部門の結果は、上位3曲が頭ひとつ抜けて多くの票を集めました。1位「RUN」(Sexy Zone)、2位「狼青年」(Hey! Say! JUMP)、3位「証拠」(ジャニーズWEST)、この3曲が多くのジャニーズファンにとって、2020年特に強く印象に残った代表曲だったと、他曲との票差からも言えるでしょう。
参照:2020年楽曲部門
「RUN」で楽曲部門で初の1位を獲得したSexy Zoneは、CDデビューした2011年以来となる、ベスト5に2曲のランクインを果たしました。また、「証拠」が3位にランクインしたジャニーズWESTは、シングル曲ではデビュー曲の「ええじゃないか」以来、全曲通じても2015年に4位にランクインした「PARTY MANIACS」以来、5年ぶりのベスト5入りとなりました。ファン自身が応援するグループ以外への投票を集計した「他担票ランキング」の結果を見ても、この2曲は幅広くジャニーズファンの支持を得た楽曲だったことがわかります。
また、この2曲「RUN」「証拠」は以前私も記事(Sexy ZoneとジャニーズWEST、『紅白』出場が期待された背景 2020年の活躍ぶりから考える)にした通り、デビュー曲以来の売上を記録しており、その面でもこの楽曲大賞の結果は納得性があります。
一方、2位に入った「狼青年」(Hey! Say! JUMP)は、2020年10月に突如予告なく、謎の覆面グループ「Honey Bee」としてYouTubeチャンネル開設と同時にMVが公開。以来、その独特な楽曲の雰囲気と、興味を掻き立てるさまざまなプロモーションで、ジャニーズファンのみならず多くの注目を集めました。それだけに、楽曲部門でも1位の本命と目された楽曲であり、2位という結果は私にとって意外とさえ感じられました。
ここで、上位3曲におけるファンの声の特徴を探るべく、私はこの3曲に寄せられたコメント全件から語句を抽出し、その出現回数をカウントしました。その中から、グループ名などを除き、私が独自に特徴的なものを上位10個分抜き出したものをまとめました。
表2:楽曲部門上位3曲のコメントにおける頻出語句(カッコ内数字は出現回数)
■「RUN」(Sexy Zone)
"5人"(890)/"聡ちゃん"(399)/"2020年"(269)/"4人"(119)/"松島聡くん"(96)/"コロナ"(85)/"聡くん"(83)/"松島くん"(81)/"10周年"(61)/"MUSIC DAY"(43)■「狼青年」(Hey! Say! JUMP)
"YouTube"(346)/"ジャニーズ"(218)/"アヴちゃん"(203)/"女王蜂"(109)/"2020年"(84)/"東京"(41)/"Honey Bee"(41)/"8人組"(41)/"MARIE"(33)/"ゲゲゲイ"(21)■「証拠」(ジャニーズWEST)
"2020年"(370)/"7人"(99)/"コロナ"(71)/"神山くん"(42)/ "神ちゃん"(27)/"明日"(23)/"関西"(18)/"たくさんの人"(14)/"日本"(14)/"第二章"(14)※語句抽出と集計方法:対象楽曲の公開された全コメントを自然言語処理サービス(Amazon Comprehend)を用いて語句を抽出し、その出現回数を機械的にカウント。
1位となった「RUN」は、メンバーである松島聡が体調不良による活動休止から復帰し、2020年9月に放送された音楽特別番組『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)をはじめとしたテレビ番組で、5人揃ったパフォーマンスを観て強く印象に残ったファンが多かったと、抽出された語句から見て取れます。「RUN」が支持された背景には、10周年を控えたSexy Zone5人の強いストーリーがあったと推測されます。それだけに、松島聡の復帰という決断は、Sexy Zoneのファンのみならず、ジャニーズファン全体にとっても胸を打つ出来事だったのでしょう。