テイラー・スウィフト、『フォークロア』&『エヴァーモア』が誘う新体験への入り口 コロナ禍で誕生した2作を連ねて聴き解く

テイラー・スウィフト、『フォークロア』&『エヴァーモア』が誘う新体験への入り口 コロナ禍で誕生した2作を連ねて聴き解く

 『フォークロア』と『エヴァーモア』は姉妹作と言われるように、アーロン・デスナーを始めとしたインディ系の制作陣のラインナップは変わらず、むしろ今作の方がソングライティング面でのコラボレート具合など、より濃密なものを感じる。『フォークロア』では半分程度だったアーロンのプロデュースが、『エヴァーモア』では彼が明確にメインとなり、参加アーティストも前作に続きBon IverやThe Nationalのメンバー、Mumford & Sonsのマーカス・マムフォード、そしてHaimのようなフィーチャリングゲストやニューヨークの六重奏アンサンブルを奏でるyMusicのメンバーなど、何やら現USインディのエッセンスがまとめられたような趣もある。

Taylor Swift – coney island (Official Lyric Video) ft. The National

 そうしたすべての要素が、テイラー・スウィフトという伝統的なシーンから登場し、王道的にアメリカンポピュラーミュージックの世界を突き進んできた彼女に新鮮な光景をもたらしたのだ。

 それは深遠な森の中を探査するようなものであったはずで、入って進んでみると、新たな道や風景が現れ、出口かと思えば新たな入り口へと誘導するものでもあった。だからこそ、『エヴァーモア』は後ろ姿のジャケットだったのだろう。

 この優れた姉妹アルバム、しっかりと前を見据えたような姉『フォークロア』、そして、少し奔放であちこちに視線を拡げたり触ったりと興味を拡げていく妹『エヴァーモア』、どちらが優れているというわけではなく、そんな2作をパンデミックという異常な状況を逆手にとって生み出した経験は、テイラー・スウィフトをさらに大きなステージに運んでいくことだけは間違いない。

■大鷹俊一(オオタカ トシカズ)
ビートルズに衝撃を受けて以来、英ロック全般、パンク/ニュー・ウェイヴ以降
の米英ロックを中心に各種媒体に書き続けている。主な著作は『レコード・コレ
クター紳士録』(ミュージック・マガジン社)、『ブリティッシュ・ロックの名盤
100』(リットー・ミュージック)など。また監修本多数。

 

■配信情報
『evermore (deluxe version)』
配信中
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『Folklore』
配信中
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テイラー・スウィフト 日本公式サイト

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