アイドルはもう「結婚=引退」ではない Negicco全メンバー結婚から考える、現代の多様な可能性

元いずこねこ・泉茉里が語る「アイドルの結婚はプラスに捉えていきたい」

 「アイドルというひとりの女の子を応援するということは、その子の人生を応援すること」と話すのは、かつて、いずこねこ、プラニメなどで活躍し、2018年9月にアイドルとしての活動を終了した泉茉里だ。

 現在、振付師、イベントMCなどをおこなっている泉は、2020年11月に結婚を発表した。そんな彼女だが、「幼少期から25歳で結婚するという憧れがあったんです。だから、たとえばアイドルを今も続けていたとしても、良いタイミングや出会いがあれば結婚を選んでいたかもしれません」と明かす。

「現役のアイドルが結婚を発表するのは、きっと勇気がいるはず。でもそれは「これから自分がこういう人間になります」という宣言でもある。もちろんファンは複雑な気持ちですよね。だけどアイドルって、自分のやりたいことをぶつけようとしている子たちが多い。たとえ結婚を選択したとしても、自分が思い描くアイドル像があるならやり切るべきだと思います。自分の生き方なんだから。それに人生として見たとき、結婚は必ずスキルアップにつながる。結婚したことで、積み重ねてきた経験、好きなこと、やりたいことがリセットされる雰囲気はなくなってほしい。だからアイドルの結婚はプラスに捉えていきたい。ファンも、「この人はこれからどうなるんだろう」という興味を持ちながら、好きなアイドルの人生そのものを応援する人が増えるかもしれません」

 Negiccoや古川未鈴の結婚発表についても「みんな、アイドル戦国時代と呼ばれた2012年頃、ステージの上で一緒に闘った人たち。自分の周りでもアイドルをやめた後、結婚した人たちはたくさんいます。全員、第一に女性として、人間として大人になり、結婚を考える年齢になったということなんです。あとNegiccoの3人や未鈴ちゃんに祝福の声がたくさんあったのは、それだけの活動をしてきたから。ファンとの信頼関係も築いていたので、その結果が今にあると思います」と話す。

 さらに「アイドルのプライベートと仕事はまったく違うもの」と付け加える。ただその理解を、ファンだけに押し付けるのではなく、アイドル自身もしっかり意識をするべきだと語る。

「もしバレてはいけないのであれば徹底的にやって欲しい。それがプロだと思います。突然、アイドルをやめたと思ったら、すぐに「彼氏とユーチューバーやります」とかは、さすがに「おい、おい」となりますね(笑)。できるだけ人生設計を立ててアイドル活動をした方が良い。自分のなかでプライベートも含めて計画性を持って活動をしないと、悲しませる人が多くなる。タイミングとか、物事の出し方をきっちり考えて、ファンに祝福してもらえる状況を作るべき」

 これからアイドルの恋愛観、結婚観がどのようになっていくか。何でもOKという状況はさすがにないだろう。ただ、Negiccoや古川未鈴のニュースはアイドルシーンに新しい生き方を示した。ここからまた、様々な変化が生まれるはずだ。

■田辺ユウキ
大阪を拠点に、情報誌&サイト編集者を経て2010年にライターとして独立。映画・映像評論を中心にテレビ、アイドル、書籍、スポーツなど地上から地下まで広く考察。バンタン大阪校の映像論講師も担当。Twitter

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