DIMLIM、アルルカンからPlastic Tree、清春まで……藤谷千明&オザキケイトが選ぶ、2020年V系ベスト

DIMLIM、アルルカンからPlastic Tree、清春まで……藤谷千明&オザキケイトが選ぶ、2020年V系ベスト

 前編では、各バンドの配信ライブの工夫からライブハウス支援企画まで、2020年のヴィジュアル系シーンの様々なトピックを振り返ったライターの藤谷千明とオザキケイトによる対談。後編では、二人が印象に残っている作品をベテラン・中堅・若手からそれぞれ一枚選んでもらい、各作品のポイントについて聞いたほか、2021年期待したい音源についての話題にも至った。なお、後日動画も公開予定だ。(編集部)

前編はこちら:ゴールデンボンバーら配信ライブの工夫、ジグザグの飛躍、lynch.ライブハウス支援企画……2020年V系シーントピックス振り返る

今こそ発信できるメッセージも見られた若手&中堅

ーー今回は、2020年のV系シーンで印象に残っている作品を、ベテラン・中堅・若手でそれぞれ1枚ずつ選んでいただきます。まずは、若手からどうでしょうか?

オザキ:僕はDIMLIMの『MISC.』です。2020年の若手の中では抜きん出てよかったなと。

DIMLIM – What’s up ? (Official Video)

藤谷:私も同じです。若手で一枚挙げてと言われたら、迷わずにこれですね。

オザキ:メンバーチェンジを経て、今は聖(Vo)、烈(Gt)、鴻志(Dr)の3名で活動していますが、メンバーが変わる中で少しずつ音楽性も変化を見せているバンドで。音楽的には、マスロックとエレクトロのコンビネーションがより増えていて、こういう表現をするV系バンドの登場は大きなインパクトがありました。マスロック的な技巧派のところもありつつ、元々持っていたメタル的な要素もちゃんと残っている。そういう熱さとクールさのバランスが、『MISC.』については絶妙だった。2020年の若手では一番良かったです。

藤谷:メンバーチェンジなどの逆境をバネにした印象はありますね。サブスクリプションサービスで配信はもはやV系でも定着した感はありますが、面白いのがCDの流通がAmazonのみだったんですよね。そういう試みも個人的には興味深いと思いました。あとは、歌詞がいい意味で等身大で青臭いというか、「今しか書けない言葉」が歌詞の中に存在しているなと。

オザキ:『MISC.』では、音楽性の変化やメンバー脱退に関して、世間に対するメッセージを発信していた印象もあります。

藤谷:現場のフラストレーションを楽曲に昇華することは、SNSで発散するやり方より断然カッコイイですね。

ーーでは、次は中堅をお願いします。

オザキ:中堅という枠の範囲が、そもそもどこまでなのかで悩みますね。

藤谷:たしかに。若い若いと思っていたバンドが、実は結成7~8年みたいなこともままありますよね。私の老化か……。

オザキ:でもそれをずっと若手と呼んでいるからこそ、シーンが詰まっているような気がするので、ちゃんと中堅的な認識に上げていかないといけないなとは思います。で、僕が挙げるのはアルルカンの『The laughing man』です。

【ARLEQUIN weekly show #008】The laughing man TRAILER

藤谷:私は、gives(ギブス)の『帝王切開』。givesは、2019年に活動休止したR指定のベーシストである七星さんがオーディションでメンバーを公募して結成されたバンドで、彼らを中堅といっていいのか問題はありますが、ギターの那緒さんと、ドラムの伊織さんはキャリア的には新人にあたりますね。V系のインディーズシーンにおいては、いわゆる若手・駆け出しと呼ばれるバンドで活動していました。七星さんぐらいのキャリアを持つ人だったら、おそらくは大物と組むことも可能だったわけですけど、そこを若手と組むというところがチャレンジングですし、V系では珍しい3ピース構成で、全員ボーカルをとるという。

gives 帝王切開 MUSIC VIDEO

オザキ:サウンド感はパンクに近いですよね。ただ、そこに寄りすぎないで、ちゃんとバラエティ豊かな楽曲が揃っている印象はあります。

藤谷:全員ボーカルをとることに慣れていないのか、完成度の高い作品ではないんです。でも、そこに伸び代があると思うし、那緒さんも伊織さんも過去に在籍していたバンドは、いい意味で「尖り」「イキり」を感じるバンドだったんですよね。R指定も尖っていたバンドですし、今後この3人での尖りも見てみたいと期待しています。

オザキ:アルルカンも永遠の若手感があるんですけど、活動も長いので中堅という位置付けにします。で、今年出した『The laughing man』がすごく良かった。音源としてまとまっていて、今までのアルルカンらしさっていうものをちゃんと残しつつ、アルルカンとしては新しさを感じる部分が半分以上を占めているイメージなんです。スラッシュメタルみたいな曲ももちろんあるんですけど、特に後半の「FIREWORKS」以降の流れがすごく綺麗で。今までは伝えたいメッセージと音楽性のバランスが取れずに前のめりになるイメージもあったんですけど、今回はすごく調和が取れていて、音源としてすごく聴きやすいし、なおかつメッセージ性もちゃんと入ってくるんです。

藤谷:「君とのあいだに」は、今の状況を踏まえて会えないからこそ書ける歌詞だなと思いました。そういう楽曲や配信ライブの『シネマティックサーカス』も含めて、今年のアルルカンは今ここでしかできない表現に対して貪欲でしたね。

アルルカン「君とのあいだに」switch out for MV

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