w-inds. 橘慶太×Hiroki対談【後編】 DJとポップスで異なる、ダンスミュージック制作の視点

KEITA×Hiroki対談【後編】

 w-inds.のメンバーであり、作詞・作曲・プロデュースからレコーディングにも関わるクリエイターとして活躍中の橘慶太。KEITA名義でも積極的な音楽活動を行っている彼がコンポーザー/プロデューサー/トラックメイカーらと「楽曲制作」について語り合う対談連載「composer’s session」。第7回はSLAY名義でDJ活動も行うトラックメイカー/プロデューサーのHirokiとの対談を前後編にてお送りする。

 後編となる今回は、正解がないからこそ新たな創作意欲が湧き続けるトラックメイカーならではの面白さ、二人がサウンドに圧倒されたという2020年のベストトラックなどについて語り合ってもらった。(編集部)

コライトで学んだ柔軟さが広げるトラックメイクの幅

橘慶太、Hiroki
橘慶太、Hiroki

橘:EXILEの「RED PHOENIX」を聴いた時、想像以上に仕上がりがEXILEだったからビックリした。HirokiがEXILEの曲を作るって言った時に正直、「EXILEの曲をHirokiがやったらEXILEじゃないじゃん」と思ったんだよね。

Hiroki:どうなると思ったんですか(笑)?

橘:いや、EXILEが曲のイメージを変えるのかなと。Hirokiの普段のトラックみたいな感じでいくのかと思ったら、しっかりEXILEのサウンドになっていて。このカメレオン性というか、どこにでも馴染める才能というか、そこがHirokiのすごいところだよね。

Hiroki:でもそこはSHOKICHIさんのトップラインがあるから、しっかりEXILEっぽさが出てるんでしょうね。トラック単体で聴くというより全体で聴くと、落ちメロのところとか特に「めっちゃEXILEっぽいな」と思いますし。やっぱり本人たちが曲作りに関わるとそうなるというか。

EXILE / RED PHOENIX(from Single「RISING SUN TO THE WORLD」/ EXILE TRIBE)

橘:確かに。その色と融合してすごくかっこいい曲になったよね。ちょっとあれは感動したなぁ。あと、LDHってメンバーが作った曲でもコンペで決めるのがいいよね。

Hiroki:めちゃくちゃよくないですか? 一昔前だとダンス&ボーカルグループは与えられた曲を歌うのが当たり前でしたけど、LDHはちゃんとこだわりをもって音楽と向き合っている。例えばSHOKICHIさんだったら、何人かのチームで自分の考えたトップラインで何週間もかけて作業をして、コンペに他の作家と一緒に出して決めてもらっていて。そういうスタイルが確立されていて素晴らしいなと。

橘:男らしいというか、とても清いと思う。Hirokiは他にもコライトする機会が多いと思うんだけど、コライトから学んだことってありますか?

Hiroki:日本人の特に僕らより上の年代の人は、自分のスタイルが固まっちゃってるじゃないですか。人によりますけど「いや、俺らはこれ1人でできるから」みたいな。そういう考え方だとあまり吸収力がない感じがするんですけど、最近の子はみんなで作ることに慣れているから柔軟ですよね。

橘:その柔軟さはやっぱりコライトには大切だよね。

Hiroki:そうなんですよ。一人で全部ってなると相当難しいし。

橘:でも、自分だけでも作っているよね。

Hiroki:難しさはありつつも、なんだかんだ自分でやりたい気持ちもある。それでいいものができたときの喜びを知っているから。

橘:自分の理想に近いほうが気持ちいいからね。人に「こうしたほうがいいよ」って言われたらどうしてる? やってみても明らかによくないって思う時ない?

Hiroki:あります。もちろん試しますよ。試して聴き比べてもらって元に戻すこともあるけど、コライトの場合はだいたいが多数決なので。

橘:じゃあ妥協することも?

Hiroki:めちゃくちゃあります。でも「こっちのほうが絶対かっこいいじゃん」って思っていても、みんなが「いや、このほうが明るくていいじゃん」ということであれば「じゃあ、いっか」と納得できるというか。

橘:それが正解な気もしてくるっていうかね。確かにそれはあるなぁ。そういえば今ってDJはやってる?

Hiroki:一昨年は1年間DJをやったんですけど、コロナが落ち着いたらまた日本でもやりたいなと思ってます。

SLAYのトップトラック

橘:いいね!

Hiroki:やっぱりお客さんの前でプレイするのは楽しい。自分の曲でみんなが盛り上がったらすごく優越感に浸れるというのもあるので(笑)。またやりたいですね。

橘:DJも1年で覚えたんでしょ? 本当に何でもすぐ覚えるよね。最初ポップスも全然作れなかったのに。

Hiroki:そうですね。全然ダメでした(笑)。

橘:全然作れなかったけど、知識を少し入れただけですぐ作れるようになった。すごいんですよ、本当に。この男はすぐ作れるようになるから。「泥棒」って呼んでください(笑)。

Hiroki:(笑)。僕のことを知っている人からすると、ゴリゴリの曲ばっかりやっている印象があると思うんですよ。実際Afrojackの<WALL UP>というレーベルから出している曲もゴリゴリな感じのものしかなかったので。でも結構エモい感じも好きなんですよね。それこそボーカルチョップがあるとか、そういう感じが好きで。これから提供曲でやるなら、そういうテイストの曲もいっぱいやりたいなって思っていますね。

橘:僕の知り合いのエンジニアも「Hirokiくんすごいよね」って言ってたり、すごく周囲の評価が高いんですよ。あまりにもみんな褒めるから、そろそろちょっとやだな、友達やめたいな……っていうのは冗談で、本当にあなたの才能は素晴らしいです。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる