EXILE TAKAHIRO、新生EXILEの中心に立つ“滑らかで力強い歌声” 「運命のヒト」「Heavenly White」カバーから考察
さて、ここからはその歌声の魅力について、改めて掘り下げていきたい。まず、先の『EXILE RESPECT』シリーズの2曲からわかるのは、アコースティックな音色とTAKAHIROの歌声は非常に相性が良く、絶妙な聴き心地を生んでいるということだ。ギターの温かみのある音色やリズミカルなカッティングは、TAKAHIROの歌声に備わっている甘く滑らかな響きと深いビブラートの余韻を美しく引き立てている。メロディラインを飾りすぎないトラックも、歌声の深みや繊細な歌唱表現を改めてじっくりと堪能できるように作られているように感じた。
また、一般には「甘く艶やか」「切ない」といった印象の強いTAKAHIROの歌声だが、GLAYのHISASHIらと組んだバンド・ACE OF SPADESでの活動などもあり、ロックサウンドにおけるアタック感を強調したボーカリングも非常に得意だ。特に最新曲「RED PHOENIX」はその最たるものの一つで、ハイトーンのシャウトも難なくやってのけている。また、そうしたアッパーな楽曲の中でも、常にどこか“柔らかさ”や“滑らかさ”が声音に残り、独特の品が感じられる点も特徴的である。新生EXILEにおいては、その点が両サイドで支えるEXILE SHOKICHI、EXILE NESMITHのボーカルとの対比にもなり、三者三様の魅力を演出する見事なコンビネーションとなる。それゆえ、年末の歌番組や配信ライブなどで披露された3ボーカルの構成やパフォーマンスは、すでにある種の完成されたフォーマットであるようにも感じられた。
積み重ねた時間の全てが歌唱表現に反映されていき、変化・成長していく様子を見届けられるというのは、一人の歌い手を長く見続ける上の醍醐味であるかと思う。約14年もの間、EXILEのボーカリストとして歌と向き合い続けてきたTAKAHIROは、新生EXILEやソロでの活動を通して、今後もより多彩な歌声を届けてくれることだろう。
■日高 愛
1989年生まれの会社員。