EXILE、豊潤でウィスパーなATSUSHIと美しい余韻のTAKAHIROの特徴 NESMITH&SHOKICHIも加えた4人構成も分析

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EXILE『愛のために 〜for love, for a child〜』

 EXILEを筆頭として今や幅広い世代のメンバー達が属し、様々なグループ形態で革新的なエンタテインメントを発信し続けているEXILE TRIBE。本稿では、そのEXILE TRIBEに属する各グループの“歌い手”達に焦点を当て、一人ひとりの歌声の特徴やグループとしてのコンビネーション力を分析する。

 最終回となる第7回目は、2001年のデビューから第一線を走り続けて来年には20周年を迎えるEXILE。日本中に響き渡り広く浸透してきた2人の歌声、その魅力について、改めて紐解いていく。

あたたかく包み込む豊潤なウィスパーボイス、EXILE ATSUSHI

 息の成分を多く含むウィスパーボイスで、あたたかく包み込むように歌うEXILE ATSUSHI。爽やかで澄んだ声音を非常に深い息の流れの中で響かせるため、“豊潤”と形容したくなるような倍音の量感と柔らかい質感が歌声から感じられる。また、的確なピッチや軽やかに切り替わるファルセット等もさることながら、情感を引き立てる小刻みなビブラート、余韻を深める微小な“タメ”など、様々な面でコントロールが行き届いており、その全てが豊かな聴き心地に繋がっている。EXILEの楽曲の大衆性を支え、多くのフォロワーを生み出してきた、LDHを代表するボーカリストだ。

楽曲ごとに繊細に表情を変える抑揚が深い余韻を作る、EXILE TAKAHIRO

 2006年9月から加入したEXILE TAKAHIROは、柔らかく優しい声質である点はATSUSHIとも近しいが比較するとより甘くウェットな聴き心地が特徴的。また、語頭の繊細な息遣いによる“入り”の表現や、非常に美しく均整のとれた深いビブラートなど、抑揚の中で表れる男性的な色気も魅力の一つとなっている。楽曲ごとにボーカリングの変化が大きい点も印象的で、その豊かな表現力は楽曲やフレーズの情景を常に鮮明に伝えることを可能としている。澄んだ声が大きな包容力を感じさせるATSUSHIとはまた異なり、繊細な妙技の光る揺らぎや余韻の美しさが胸を打つような歌声の持ち主である。

「愛のために ~for love, for a child~」から考える、4人構成の魅力

 現在のEXILEは、先に紹介した2人がメインで歌っているほかEXILE NESMITH・EXILE SHOKICHIもボーカルとして楽曲に華を添えている。ここからは最新曲を通してその構成の魅力について掘り下げる。

EXILE / 愛のために ~for love, for a child~ (Music Video)

 今年の初めにリリースされた「愛のために ~for love, for a child~」は、美しくシンプルなメロディとボーカリストそれぞれの語り掛けてくるような優しい歌声が耳に残る壮大なバラード。特筆したいのはATSUSHIの歌い出しから4人が等分に歌い繋いでいくサビまでの流れだ。力を抑えた低音のフレーズでもしっかりと芯を響かせるATSUSHIの歌い出し(0:45~)。そして息を短く切り語尾の抑揚を抑えることで声音の透明感を際立たせ、爽やかな余韻を残すTAKAHIRO。続いて登場するNESMITHの力強い歌声が、メロディの変化と相まって楽曲をドラマチックに展開させる。そして、SHOKICHIの上昇していくパワーのある実体感の強い歌声が積み重ねてきた情感を最大限に増幅させ、サビの心温まるユニゾンへと繋いでいく。

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