『ジャニーズカウントダウン』『月曜から夜ふかし』…関ジャニ∞ 村上信五、MCとして次のステップへ? 年末年始特番が第一歩に

 そんな村上信五のMCとしての強みは、もちろん進行や仕切りの部分の上手さもあるが、「1対1」の対人関係での強さであるように思える。

 村上がMCとしての評価を高めるきっかけになったのが、2015年に日本テレビのアート関連特番でビートたけしとともにMCを務めたことだった。たけしは、「感性が豊かで知識も豊富」「よく勉強している」とそのMCぶりを称賛した。その後2人は、『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)でも2017年から3年連続でメインの出演者としてタッグを組むことになる。

 村上信五がMCを務める番組は、ほかにもそうした「1対1」のタッグ形式のものが多い。相手はマツコ・デラックス、東野幸治、ブラックマヨネーズなどいずれも強者揃いで、そうした相手と丁々発止で渡り合う“接近戦”での能力の高さが際立つ。相手の出方を冷静に見ながらの当意即妙の返しやツッコミ、時にいじられ役に回るフットワークの良さがある。そのセンスは元々彼自身に備わっていたものだろうが、それがMCとして“他流試合”の経験を重ねるにつれ、いっそう磨きがかかってきた印象だ。

 ここ何年か、村上信五が自ら望み、機会があるごとにやりたいと言っているのが『NHK紅白歌合戦』での司会である。彼らしく半分ネタ的になっているところもないではないが、一方で中居正広が1997年に男性最年少で白組司会となって以来、嵐やそのメンバー、井ノ原快彦などジャニーズが務めてきた『紅白』司会の歴史に自分も連なりたいという真剣な思いが伝わってくる。先述のアート特番で組んだたけしに「いつか紅白の司会をやるんじゃないかな」と言われたことも後押しになっているはずだ。

 実際、2019年からレギュラー化された『SONGS OF TOKYO』(NHKワールドTV)など、NHKの音楽番組でのMC実績を着々と積んでもいる。さらに今回の『ジャニーズカウントダウン』も、コロナ禍における音楽番組のMCとしてよいアピールの機会になることは間違いない。

 こうした流れを見ても、村上信五はMCとして次のステップに向かうタイミングに差し掛かっていると言えるだろう。これまでは主にバラエティで大物MCとがっぷり四つに組むことでストロングスタイルのMC力を培ってきたが、今後はそれをもとに『紅白』のような全世代向けのMCスタイルをより洗練させていく必要があるのではなかろうか。そこにはハードルもあるだろうが、それを越えられるだけの能力はすでに十分備えている。まずは、その手始めともいうべき年末年始の彼のMCぶりに注目したい。

■太田省一
1960年生まれ。社会学者。テレビとその周辺(アイドル、お笑いなど)に関することが現在の主な執筆テーマ。著書に『SMAPと平成ニッポン 不安の時代のエンターテインメント』(光文社新書)、『ジャニーズの正体 エンターテインメントの戦後史』(双葉社)、『木村拓哉という生き方』(青弓社)、『中居正広という生き方』(青弓社)、『社会は笑う・増補版』(青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』『アイドル進化論』(以上、筑摩書房)。WEBRONZAにて「ネット動画の風景」を連載中。

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