THE RAMPAGE、2020年シングル4作を振り返る 表題曲とカップリングで見せたこれまで以上に多彩な表情

 そもそも『MY PRAYER』に限らず、2020年のTHE RAMPAGEは特にそれまでのイメージを覆すような楽曲を表題曲とし、また一方で対照的な楽曲をカップリングに据えるという実験的な構成の作品が多かった。

 ここからは、2021年2月24日に発売となる3rdアルバム『REBOOT』に向けて、それらを1作ずつ振り返っていきたい。

 2020年最初のリリースは1月、シングル『FULLMETAL TRIGGER』であった。ダンス&ボーカルグループには珍しいミクスチャーロックを意識したスピード感のある表題曲、そして高揚感の強いEDM調のカップリング曲「WAKE ME UP」はそれぞれグループとしても革新的な楽曲だったと言える。このシングルを引っ提げたツアーの中でいっそう楽曲として磨き上げられ表現を広げていくかに思われたが、残念ながら新型コロナウイルスの影響により4公演で中止となった(ちなみにその後、9月に行われた配信ライブ『LIVE×ONLINE IMAGINATION』では、同ツアーの内容を再現したライブが行われ好評を博した)。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE / FULLMETAL TRIGGER (Music Video)

 その後、緊急事態宣言下の4月にはシングル『INVISIBLE LOVE』が発売された。トラップの要素を取り入れた中毒性の高いトラックが魅力の表題曲では、倒錯的な恋愛観がかつてない聴き味を生んでいた一方、カップリングの「INTO THE LIGHT」は澄み切った水のように爽やかで真摯なバラードであった。“異色のバラードと正統派バラード”という、これもまた新鮮な構成を伴った作品となっていた。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE / INVISIBLE LOVE (Music Video)

 その後、新たなライブエンタテインメントとして開始された無観客配信ライブ『LIVE×ONLINE』などを経て9月にリリースされたのは、まだ記憶に新しい『FEARS』だ。表題曲「FEARS」はロック歌謡の趣もあるバラードで、閉塞感や恐怖を演出したサウンドメイクや、その世界観をさらに押し広げた耽美的なMVが話題を呼んでいた。カップリングはTHE RAMPAGEにとって馴染み深いニュージャックスイングを取り入れた陽気な楽曲「LIVIN' IT UP」と、これまで以上にウェストコーストヒップホップの世界観を追求した硬派な楽曲「FAST LANE」という、やはり1曲ごとのジャンルや世界観が大きく異なる構成。さらに『MY PRAYER』と同様に、「未曾有の災禍の中で苦難を強いられた彼らが、それまでのスタイルを踏襲しつつも新たな地平へ進んでいく」というストーリー性が3曲を通して感じられるような作品であった。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE / FEARS (MUSIC VIDEO)

 昨年リリースされたアルバム『THE RIOT』は、THE RAMPAGEがデビュー時から突き詰めてきたヒップホップスタイルの一つの集大成的な作品となっていた。そして、こうしてリリース楽曲を軸に振り返ると、次回のアルバムは各種タイアップ等にも合わせてリリースごとにガラッと表情を変えてきたシングル表題曲に加え、よりクラブミュージックに近づいていった印象のあるカップリング曲群という、かなりバラエティに富んだ一作になると思われる。『THE RIOT』のリード曲「Move the World」が“第二章”を予見させる楽曲であったことを考えると、やはりアルバム撮り下ろしのリード曲の内容が気になるところである。ひとまず、続報を待ちたい。

■日高 愛
1989年生まれの会社員。

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