SEKAI NO OWARI、『恋あた』主題歌バイラル好調 バンド初のクリスマスソングで際立つしなやかな“歌の強さ”

参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(12月10日公開:12月3日~12月9日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:Ado「うっせぇわ」
2位:優里「ドライフラワー」
3位:菅田将暉「虹」
4位:Broken kangaroo「水平線」
5位:SEKAI NO OWARI「silent」
6位:Eve「廻廻奇譚」
7位:LiSA「炎」
8位:BTS「Dynamite」
9位:HAND DRIP「言えない」
10位:川崎鷹也「魔法の絨毯」

 上位10曲中、上昇曲は1曲(川崎鷹也「魔法の絨毯」)。この曲も、この秋以降のバイラルチャート上位の常連で、1位も獲得した楽曲だ。すなわち、上位がここ最近の常連曲。つまり今週のチャートは、それだけ1曲1曲が繰り返し再生されたり共有されている曲ばかりであるということであり、フィジカルメディアとして手元に残らなくても、日常とともに聴き手の記憶に刻まれているということだ。そして楽曲自体が、個々の思い出になっていく。そこから、そのアーティストを好きになることもあるだろう。このように、サブスクリプション音楽配信サービスは、新しい音楽との出逢いの場所であることはもちろん、その間口を広げているという意味で、個人的には、もはやひとつの音楽媒体だと思う(これ、以前も書いたけどね)。

SEKAI NO OWARI「silent」

 さて、今週の取り上げるのは5位にランクインしたSEKAI NO OWARI「silent」(TBSドラマ『この恋あたためますか』主題歌)である。本年CDデビュー10周年を迎えたSEKAI NO OWARIは、セールス、ライブ動員数、海外での活動展開など、その実績だけ並べても日本を代表するバンドのひとつである。5年連続で『NHK紅白歌合戦』へ出場した他、多数のアニメや映画主題歌への楽曲起用、JR東日本やアサヒビールのCM曲、「平昌オリンピック・パラリンピック」NHK放送テーマソングを手掛けるなど、幅広い年齢層に支持されている。

 最新曲「silent」は、彼らにとって初のクリスマスソングだ。繊細なアレンジとピュアなメロディが光るバラードである。シンプルな譜割と、丁寧に語り掛けるように歌を紡ぐFukaseのボーカルに注目したい。ボーカルを加工することも多いSEKAI NO OWARIだが、この曲はストレートにFukaseの声質を生かしている。そこで浮き立ってきたのが、彼のクリアな高音だ。声変わりしていないんじゃないかと思わせるようなクリアな高音が、この楽曲に讃美歌のような趣を添えている。しかもそれが厳粛さではなく、儚さとして出てくるあたりが彼の歌声の個性だろう。これまでの楽曲でも、前述した特徴は捉えることができたが、そこに、しなやかな強さが加わったという印象である。Fukaseのボーカリストとしての著しい成長を感じる。

SEKAI NO OWARI「silent」

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