End of the Worldは世界のポップシーンと共鳴し続ける Clean Banditら一連のコラボ作からグローバルな活動の軌跡を辿る

End of the World、グローバルな活動の軌跡

 SEKAI NO OWARIのグローバルな展開を目的としたプロジェクト、End of the World。彼らが昨年リリースしたシングル「Lost (ft. Clean Bandit)」以来となる新曲「Over (ft. Gabrielle Aplin)」を発表した。

End of the World - Over (Audio) ft. Gabrielle Aplin

 End of the Worldが国外での活動に取り組み始めたのは、SEKAI NO OWARIがメジャー1作目のアルバム『ENTERTAINMENT』を発表し、この作品で第54回『輝く!日本レコード大賞』「優秀アルバム賞」を受賞した翌年にあたる2013年の初頭。1月に仏カンヌで行われた国際音楽産業見本市『MIDEM』内の「Live Nation Night」に出演すると、この公演を契機に海外での活動時のバンド名をEnd of the Worldに変更。2019年からはSony Music UK 傘下のレーベル、Insanity Recordsに所属し、世界各地のアーティストと交流しながら活動を続けている。

 なかでも印象的なのは、Clean Banditとの一連のコラボレーションだろう。Clean Banditはクラシックとハウスなどを筆頭にしたクラブミュージックの要素を融合させたユニークな音楽性で知られるイギリスの音楽ユニット。End of the Worldは、2016年にリミックス曲「Rockabye (feat. Sean Paul & Anne-Marie) [End of the World Remix]」を提供。ダンスホールレゲエの帝王ショーン・ポールを迎えて、Major Lazer & DJ Snake「Lean On」などをきっかけに当時再ブームが訪れていたダンスホールの要素も含む原曲を、ピアノのフレーズなども加えたEDM風の楽曲として、よりフロアで映えるような雰囲気に仕上げていた。

 続いて2018年12月には、Clean Banditの2ndアルバム『What Is Love?』のリリースを記念して京都の東福寺で行なわれた彼らの配信ライブ『LIVE FROM KYOTO ~古都から世界へ』の4曲目に披露された「Baby」に、楽曲のレコーディングにも参加していたNakajinがギタリストとして登場。演奏前、「日本で私たちと特別な関係にあるうちのひとり、End of the Worldから……Nakajin」と紹介されると、同じくボーカリストとしてライブにゲスト参加したMarina(元Marina and the Diamonds)とともにNakajinがステージに登場。アコースティックギターで演奏に華を添えていた。ちなみに、このとき筆者がClean Banditに取材をしたところ、彼らが東福寺のライブを嬉しそうに思い出しながら、「Nakajinはいつか、Clean Banditのメンバーにしたい(笑)」と語っていたのも印象的だった(参照:Clean Bandit、コラボレーションのなかで突き詰めた音楽性「曲そのもので勝負することを考えた」)。

 そして2019年には、End of the World名義で「Lost (ft. Clean Bandit)」をリリース。この曲は、ハイハットを強調したダンサブルな四つ打ちのビートに人力ディスコ/ソウル風味を加えた華やかなポップチューン。アイスランドで撮影されたMVも話題となった。

End of the World - Lost (Official Video) ft. Clean Bandit

 こうした一連の活動に象徴されるように、End of the Worldの活動では、世界各地の様々なミュージシャンとのコラボレーションを楽しんでいるように感じられる。2017年にはJonas Brothersのジョー・ジョナスらが結成したグループで、シングル「Cake By The Ocean」が大ヒットしたLAの4人組、DNCEにリミックス曲「Good Day (remixed by End of the World (SEKAI NO OWARI))」を提供し、「Hollow」では2バンドでの共作も実現。どちらの楽曲もDNCEの来日を記念した『DNCE [Jumbo Edition]』に収録されている。なかでも「Good Day (Remixed by End of the World)」は、カラッと陽気な原曲に切ないコードを加えた、素晴らしいリミックスになっている。ちなみに、DNCE は来日時にセカオワハウスを訪れたりもしたそうだ。

DNCE - Good Day (End Of The World Remix)

 また、2017年4月には、カーリー・レイ・ジェプセン『E•MO•TION』などを手掛けたCJ Baranをプロデューサーに迎え、アメリカでのデビュー曲「One More Night」をリリース。まるでブルーノ・マーズのセクシーなソウルミュージックとバンドサウンドの魅力を融合させたような、ミラーボールきらめくディスコサウンドを鳴らしていた。そして、この曲のMVにもDNCEが客演。その時々の世界的な人気アーティストとコラボレーションを重ねるなかで、彼らと海外アーティストとの交流の輪が広がっていく様子が垣間見えるのも印象深かった。

End of the World - "One More Night" (Official Video)

 そして2018年には、当時はYG ENTERTAINMENTに所属していた韓国のヒップホップレジェンド、EPIK HIGHとのコラボレーション曲「Sleeping Beauty」をリリース。これはもともと、End of the Worldのメンバーが韓国を訪れた際にラジオで彼らの名前を挙げたことから交流が始まり、実現に至ったもの。2020年5月には、ロンドンファッションウィークを通して知り合ったAu/Raにも「Ideas (End of the World Remix)」を提供。ダークで神秘的な原曲の雰囲気を活かしつつ、ビートを強調したダンストラックに仕上げている。

End of the World × EPIK HIGH - Sleeping Beauty (Official Audio)

 だとするなら、リリースされた「Over (ft. Gabrielle Aplin)」は、End of the Worldのこれまでの活動の延長線上にある楽曲と言えそうだ。この曲は、たとえるならEnd of the World 版のThe Chainsmokers「Closer ft. Halsey」と言いたくなるような、アコースティックな音色を加えながらもサビにドロップが挿入される、EDM以降の構成を持った切ないポップソング。そこにFukaseと、ジョニ・ミッチェルやFeistに影響を受けたガブリエル・アプリンのボーカルが交互に乗ることで、楽曲の切ない雰囲気がさらに増しているように感じられる。

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