佐咲紗花、作品に寄り添い続けたデビュー10年の矜持 「私にとって表現することは作品と一緒にいること」

佐咲紗花が語る、デビュー10周年の矜持

 2020年1月にデビュー10周年を迎えた佐咲紗花が、 自身のシンガーとしての軌跡を凝縮した50曲入りベストアルバム 『SAYABEST 2010-2020』を発売した。DISC1には数々の作品を彩 ってきたシングル表題曲、DISC2にはプレイヤーを熱狂させた ゲームソングを収録。さらに、DISC3にはファン投票で選ばれ た人気曲+10年の思いを込めた新曲がラインナップされている。

 佐咲紗花は『第3回全日本アニソングランプリ』で優勝を経て 2010年にデビュー。現在に至るまで、アニソン/ ゲーソンシンガーとして数多くの主題歌を歌唱してきた。 そんな彼女がベストアルバム収録の50曲と共に過去を振り返った 時、一体何を感じたのか。デビュー当初に抱いた不安、 ファンとの交流で培われた絆、様々な楽曲への挑戦で芽生えた自信 ……このインタビューを通して、その濃密な10年の歴史の一端を 体感してほしい。(編集部)

HP作成のためにWebデザイン学校に通ったデビュー当初

佐咲紗花|デビュー10周年MVダイジェスト

ーー今年1月にデビュー10周年を迎えたことに対して、あらためて感想をいただけますか。

佐咲紗花(以下、佐咲):みなさんの元に歌いに行くという意味では精力的にずっと動けていたとは思うんですけど、リリースとしてはけっこう間が空いてしまうこともあり、焦りを感じる時期もありましたが、10年間活動が止まらなくてとにかく良かったなって思います。

ーー10年前、デビューした当時のことって鮮明に覚えています?

佐咲:はい。私はオーディションの決勝大会から4カ月後にデビューという状況だったので、とにかく慌ただしかったことを覚えていますね。とは言え、デビューすれば毎日が華やかなものになると思っていたのに、実際はそうでもなく。デビュー1年目、2年目くらいまでは、ちゃんと活動をしてはいたけど、先があまり見えなくて不安も多かったです。

ーー不安を払拭するため自分なりに何か動いたりしたこともありました?

佐咲:2年目まではフリーランスだったので、いろいろと自分で作り出すみたいなことはしていました。自ら企画して地元の秋田でいろんなイベントをしてみたりとか、デビュー当時はまだ自分のホームページがなかったので自分で作らなきゃダメかと思って基礎から学ぼうとWebデザインの学校に通ってみたりとか。

ーーえ、ホームページを自分で作ったんですか?

佐咲:HTMLから勉強してWebデザインの学校を卒業して、「よし作るぞ」って思ったらまさかのそのタイミングでレーベルサイドに作っていただけることになったので、、学んだことは生かせず(笑)。でも学校に通ったことは単純に楽しかったです。

ーー想像とのギャップがあったデビュー当初の時間を過ごす中で、よりハングリーな気持ちが芽生えたりとか、ご自身の心の強さが育まれたところもあったんじゃないですか?

佐咲:確かにそうですね。ただ、そこが強くなりすぎてしまったところもありました。裏方としての気持ちが強くなってしまったところもあったし。デビューしたの時点でもうすでに大人だったので、なるべく、誰かに頼らず、無理してでも自分だけで頑張りすぎるようになってしまって。もうちょっと大人の方に甘えていたら良かったのかもなって今になると思います。

ーーその当時、10年後の自分の姿を思い描いたりしたことはありました?

佐咲:全然なかったです。ファンの方との約束として、還暦までは確実にライブをする、そしてその後もすべてのお祝い……喜寿だったり米寿だったり、喉さえ大丈夫なら白寿まで歌っていたいなって思いはあったんですけど、具体的に10年後の自分の姿は全然見えてはいなかったというか。

ーーでも、長く歌い続ける気持ちだけは揺らがずにここまで来れたわけですね。

佐咲:そうですね、ただ今年はコロナのことがあったりして、不安が積み重なってしまったところもあって。ちょっと心が折れかけた時期もありました。

みなさんの気持ちをダイレクトに受け取ることが私の原動力

ーー佐咲さんが活動を続ける上で、何が一番大きな原動力になっているんでしょうね?

佐咲:やっぱりファンの方々の存在です。活動を始めた当初はブログ、今は主軸がTwitterになっていますけど、そういった場所や直接会えるイベントでみなさんの気持ちをダイレクトに受け取ることが私の原動力になっています。何かを発表すればすぐ反応をくださり、一緒に喜んでくれて、時には一緒に泣いてくれる人たちがいることは本当にありがたい。だからこそ、より頑張ろうって思えるところはありますね。

 歌に関しても、当初は自分の中の凝り固まったイメージみたいなものがあったので、「こうしなきゃいけないはずなんです!」ってプロデューサーとよくぶつかったりしていたんですよ(笑)。でもだんだん全体を俯瞰で眺めることができるようになって、自分の思いを押し通そうとするのではなく、他の方の意見もしっかり受け止められるようになりました。その上で自分の中でどうしても譲れない部分がある場合には、それを上手に伝えられるようにもなったと思いますね。昔はただただ熱く思いをぶつけていただけだったので(笑)。

ーー歌に対しての思いは当時から一切変わらないですか?

佐咲:はい。当初から一切変わらず、私は作品のために歌いたい人です。なので作品のための曲だとアイディアもスピードも熱量がすごいのに、カップリング曲やアルバム曲でノンタイアップ曲を制作するとなると「どうしよう」って思ってしまう感じで(笑)。基本的にはノンタイアップの曲の場合も、自分の中で勝手に空想の設定やストーリーを作り上げて、その中のこの設定に対する曲みたいなイメージで歌うようにしていますね。

ーー活動する中で「自分なりの思いを伝えたい!」といったアーティストとしての自我みたいなものは生まれなかったわけですか。

佐咲:それも含めて作品に寄り添う中で伝えたいなぁって。私にとっては“表現すること=作品と一緒にいること”なんだと思います。

ーーそういう意味では生粋のアニソン、ゲーソンシンガーってことなんでしょうね。

佐咲:そうですね。二次元を愛し、ずっと妄想で生きてきたので(笑)。

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