佐咲紗花、作品に寄り添い続けたデビュー10年の矜持 「私にとって表現することは作品と一緒にいること」

佐咲紗花、作品に寄り添い続けたデビュー10年の矜持 「私にとって表現することは作品と一緒にいること」

アーティスト人生の転機になった美少女ゲームソング

ーーそんな佐咲さんのこれまでの軌跡をたっぷりまとめたベストアルバム『SAYABEST 2010-2020』がリリースされました。3枚組、全50曲の大ボリューム作ですね。

佐咲:たぶんこの十年でここに収録した曲の3倍近くの楽曲数を歌ってきてはいるんですけど、でもこれだけの曲が一気に並ぶと感動しちゃいますよね。今回のベストを眺めてみて思うのは、自分にとって美少女ゲームの楽曲を歌うことを決めたのが大きな転機になっているなっていうことで。

ーーアニソンシンガーとしてデビューされた佐咲さんは、かなり早い段階からゲームソングも手掛けられるようになりましたよね。

佐咲:先ほど活動初期に不安が大きかったというお話をしましたが、美少女ゲームの楽曲のオファーが多くなっていったことで、本当に素敵なファンの方たちとたくさん出会うことができましたし、シンガーとして担当させていただく楽曲の数や歌うジャンルの幅がめちゃくちゃ増えました。なので美少女ゲーム業界とそれを支えるファンの皆さんにものすごく感謝していますし、これからたくさん恩返ししていきたいなと思っています。

ーーゲーソンを歌うようになったことが、アニソンを歌う佐咲さんに何かもたらしてくれたものはありましたか?

佐咲:ゲームソングのイベントに出演させていただく度に感じるのが、楽曲へのとびきり熱い想いとそれを歌うシンガーに向けられた大きな愛情です。ゲームの中で会話や行動を自分の意志で選択することで紡いでいった青春や恋の記憶。その想い出と共に流れている楽曲なので、皆さんの一曲一曲への思い入れもそれぞれすごく強くなっているので、歌っていると皆さんの表情からも、そのそれぞれの記憶を辿ってあげているナビゲーターになったような温かい気持ちになります。「この作品の曲だから大好き!」と言っていただける度に、さらにその上の「佐咲紗花が歌ってるから好き」と言ってもらえるようにもっともっと頑張ろうって思いました。

ーーその思いはこの10年で達成できたという自負もあるんじゃないですか?

佐咲:いやーまだまだですね(笑)。でも、まだまだだなとは思いつつも、担当させていただいた楽曲と作品の数は自分にとっての誇りですし、それが自信に繋がっていることは間違いないと思います。

「困ったときの佐咲紗花になりたい」

「Reason why XXX」

ーーベストアルバムのDISC1にはこれまでリリースされてきたすべてのシングル表題曲がまとめられていますね。

佐咲:各楽曲にいろいろなエピソードがあるので、すべてに思い入れがあります。中でも特に印象的なのは「Reason why XXX」かな。シンガーソングライターのZAQちゃんがデビュー前に書いてくれた曲なんですけど、デモ音源を聴いた瞬間「これ、人類がライブで実際に生で歌えるんでしょうか?!」と思うくらい歌うのが難しくて大変だったんですよ。エラ呼吸を使わないと息がもたないでしょ、みたいな(笑)。レコーディングでエディットしてなんとか形にすることができたとしても、ライブで歌えないのでは意味がないので、これは100回以上練習してからレコーディングに臨みました。歌い切ったときの達成感はものすごく大きかったですし、多くの方から「これはさや姉にしか歌えないよね」と言ってもらえたことがうれしかったです。それまでの楽曲は元々自分の中にあったジャンルの歌のテクニックを駆使して歌ってきていたと思うんですけど、この曲辺りから自分が持っていないスキルを新たに手に入れた感覚もあって。難しかったけど、結果的にちょっと自信にもなりましたね。

ーーシングルに限らずですけど、佐咲さんは本当に様々なタイプの楽曲を歌いこなせる印象がありますよね。

佐咲:今思えば、プロデューサーさんをはじめとするスタッフの方々が、「この子に何を歌わせればハマるんだろう」って模索していたんだと思うんです(笑)。私のカラーが固まっていなかったからこそ、いろんなジャンルの曲をまかせてもらえたんだと思います。で、私自身はどんな曲が来ても楽しく挑んでいった結果、すごく突飛な楽曲が来たりとかもして(笑)。

ーー楽曲タイプを選ばないところがひとつのカラーになっていったと。

佐咲:そうなのかもしれないです。私としても、新しいタイプの曲と出会えたら、「この分野のパイオニアになれたらいいな」っていう気持ちで挑んでました。活動を続ける中で、ロックな楽曲が自分としては一番攻略しやすいんだなということがわかってきたんですけど、いろんなジャンルを歌えるということが制作サイドの皆さんにとって「困ったときの佐咲紗花」になるといいなっていう気持ちは今もあったりはします。

「DREAMLESS DIVER」

ーーシングル表題曲で他に印象的だった曲ってあります?

佐咲:レコーディングがとにかく大変だった、という意味で記憶に残ってるのは「DREAMLESS DIVER」かな。これはレコーディングする声素材がとにかく多かったんですよ。主となるメロディはそこまで時間をかけずに録り終わったんですけど、その後、4~5時間くらい延々とハモやコーラスや声素材をずっと録り続けるっていう。レコーディングで、ノドは平気だけど、立ちっぱなしで足が痛くなりすぎて休憩をいただくという経験は初めてでした(笑)。でも、この曲を歌ったことで、声を素材として使ってみるとか、ハーモニーをひとつの大事な要素にするとか、そういったことを知識としてインプットすることができたんですよ。それ以降のレコーディングで「ここにこういう声を重ねてみたいです」みたいな提案をすることができるようになったのは「DREAMLESS DIVER」のおかげだと思います。

ーー活動の中での学びは、以降のレコーディングにしっかりと生かしていくわけですね。

佐咲:はい。当初はディレクションされたままに歌っていましたけど、だんだん自分なりのアイデアを提案させてもらうようにもなって。それによって歌うことがより楽しくなったところもありました。

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