AA=、配信ライブであることを超えた表現 演奏とビジュアル演出による“作品”としての世界観と可能性
上田、白川、児島がフロントに並び、一段高くなった後ろ、スクリーンの前でZAXが横向きにセットされたドラムに対峙するが、長い髪を振り乱し汗みどろで長い手足を目一杯振り回しながら叩くZAXのドラミングはダイナミックでパワフルで、何より派手で見栄えがする。彼の放つエネルギーと熱気が、この日のライヴを象徴していたように思う。
パソコン画面をミラーリングで55インチの有機ELディスプレイに投影し、AVアンプとスピーカーを通して大音量で鑑賞したが、その映像のクオリティの高さと共に、出音の強力さに圧倒された。クリアで硬質だが荒々しいエネルギーも十分感じ取れる。AA=のロック・バンドとしてのダイナミックなグルーヴとパワー、なによりその空間を歪ませる爆音の迫力を存分に伝えてきた。
この日なかったものは、「目の前の観客」だけである。だがネット回線越しに見る無数の観客の「目」を意識することで、この配信ライヴは単なる配信ライヴであることを超えた。満員のライヴハウスでモッシュしながら体験する生のライヴが恋しくなったことは確かだが、AA=にはそれとはまた別の、音楽と表現のさらなる可能性を切り開くことも、大いに期待している。
■配信情報
11月10日(火)23:59までアーカイブ配信中
詳しくは、SPEEDSTAR CLUB「AA= DISTORT YOUR HOME」特設サイトにて