SixTONES、大きな世界へと飛び立つ一瞬の爆発のような『TrackONE -IMPACT-』 グループに欠かせない様々な要素

SixTONES『TrackONE -IMPACT-』レビュー

 SixTONESが発売したライブDVD/Blu-ray『TrackONE -IMPACT-』は、彼らがどんなグループなのかを知るに絶好の作品だ。収録されているのは今年1月の横浜アリーナ公演の模様。広い会場を縦横無尽に駆け回る姿は、着々と積み重ねてきたグループの規模の大きさを物語っている。

 SixTONESを語る上で、まず欠かせないのがパフォーマンスである。YouTubeの公式チャンネルで公開されているダンス練習の動画などを見ても、そのスキルの高さや振り付けの難易度が確認できるだろう。今回のライブ映像で言えば、序盤の「NEW WORLD」から「SUN BURNS DOWN」の間で披露したダンスパートに彼らのパフォーマンス面の魅力がよく表れている。手足の長い高身長のスタイルを駆使したダイナミックなダンスは圧巻の迫力。ソロダンスから始まって徐々に集合し、最終的に6人集まったときのステージの”支配力”は興奮モノだ。

 その後、囚われているようなモチーフの演出が続く流れも面白い。歌詞に〈気が付けば誰かに操られ 俺 MARIONETTE〉というフレーズのあるKAT-TUNの「RIGHT NOW」から、ロボットダンスのSMAP「Battery」、KAT-TUN「THE D-MOTION」、そして最後にV6「KEEP GOING」へと続いていくメドレーを披露する。マリオネット〜ロボット状態の彼らが、やがて熱を帯びていき“自我を取り戻す”ようなダンスの流れに、長い下積み期間を経てついにデビューを勝ち取った彼らの境遇を重ね合わせることもできよう。

 まだ持ち曲の少ない彼らは本作で先輩たちの楽曲をカバーしているが、KAT-TUNの曲を多く歌っているのも特徴だ。ダークでワイルド、かつクールなイメージの似合う彼らには、たしかにKAT-TUNの面影を感じることができるかもしれない。あるいは、山下智久の「Right moves」「PARTY'S ON」を歌う彼らも印象的だ。甘美で官能的な側面もSixTONESの大きな要素である。

 彼ら自身の楽曲にも触れておきたい。「楽曲に恵まれてるなって思うよね」とはライブ中のメンバーたちの言葉。妖艶で美しい「JAPONICA STYLE」や、力強い歌唱が魅力の「IN THE STORM」、そしてX JAPANのYOSHIKIが楽曲提供したデビュー曲「Imitation Rain」など、彼らのイメージを活かした独自路線を打ち出している。一方で、Jr.時代の名曲「この星のHIKARI」のようなジャニーズ王道の楽曲まで歌いこなす。激しい雨に打たれて苦悶するような彼らも、キラキラと輝くような彼らも、英語詞を流暢に歌い上げる彼らも、SixTONESのアーティスト性の重要な一部である。

 巧みなマイクパフォーマンスにも注目したい。多様な声色を聴かせるボーカルワークはもちろん、6人の掛け合いで見せる話術も見事だ。MCにおいてSNS時代を意識した会話も見受けられた。YouTubeでも発信するグループとして、現代にフィットした感性を持つ6人。彼らの和気藹々とした話を聞いていると、あたかも我々がメンバーの仲間入りをしたかのような、このライブ鑑賞が心地よい体験と化していく。

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