『仮病』インタビュー
ザ・コインロッカーズ 宇都宮未来&絹本夏海&船井美玖&森ふた葉インタビュー 体制変更からの挑戦の日々と13人で叶えたい目標
同じように苦しい思いをしている方たちにも響いてほしい(絹本)
ーー5月のCDシングル『僕はしあわせなのか?』、7月のデジタルシングル『夢がない僕が夢をみたんだ』やTikTokアルバム『群青ミラージュ』に続き、早くも新たなデジタルシングル『仮病』がリリースされます。しかも、表題曲はデビュー曲「憂鬱な空が好きなんだ」以来となるドラマタイアップ。
船井:9月から始まったドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』のエンディングテーマを担当させていただいています。エンディングでイントロが流れるタイミングがすごくいいんですよね。
宇都宮:あれはたまらないですよね。あの雰囲気を醸し出せるのは、ザ・コインロッカーズの「仮病」しかないと思います(笑)。
森:実際、放送されたときは「憂鬱な空が好きなんだ」以来に叫びました。「お~っ!」って(笑)。
宇都宮:「ここか!」っていうタイミングに流れて。ドラマのストーリーに圧倒されていたとき、不意打ちで急にですから、私もテレビを観ながら「おーっ!」ってなりました。
森:イントロのピアノの入りが、エンディングっぽくてすごくいいと思います。
ーーバラードではないんだけど、曲調がすごくしっとりめだから、切なさも強調されている。前作、前々作とも異なる仕上がりですよね。
全員:そうなんです!
ーー声が合いましたね(笑)。
宇都宮:(笑)。前作までは高校生の日常を思い浮かべるザ・青春という感じでしたけど、今回はちょっと大人っぽくなったというか。普段見せない表情が見せられたかなという気がします。
森:でも、〈朝礼〉や〈保健室〉というワードで青春感も残しているんですよね。
ーーこの歌詞を最初に読んだとき、皆さんどう感じましたか?
絹本:自分の実体験と重なって、すごく共感できました。私が励まされたのが2番のサビで、〈人生で苦しくなったら そこで 無理をしないで仮病を使え! 心が本当の病気になってしまうその前に…〉というフレーズ。私も高校生のときにすごくつらい思いをしていた時期、本当に心が病気になってしまいそうだから仮病を使って休んだことがあったから、この歌詞は同じように苦しい思いをしている方たちにも響いてほしいなという願いもあって。
宇都宮:仮病を使うことに罪悪感を抱く子って、意外と多いと思うんです。でも、この歌詞を読んだときは「ああ、仮病を使うことも自分を守るためのひとつの手段なんだな」と気づかされました。
森:聴き手に寄り添う歌詞ってこういうことですよね。
船井:私もこの歌詞、すごく好きです。
宇都宮:でも、最初にタイトルを聞いたときは、みんなザワザワしていたんですよ。だって、タイトルが「仮病」と言われてもどういう歌詞なのか想像がつかないじゃないですか。
船井:でも、歌詞を読むとネガティブなものではなくて、全然気楽に「逃げ道として仮病を使っていいんだよ」っていう、肯定的な内容で。「そんなに抱え込まなくていいよ」って励まされる気持ちになりました。
主張はしすぎず、でも自分は消さず(森)
ーーでは、レコーディングで歌う際にはどういうことを意識しましたか?
船井:歌詞もそうですけど、メロディも自分がもともと知っていたかのように体にスッと入ってきて、感情のままに歌えたというか。今までいただいた曲の中のどれよりも、自分の感情を表に出して歌えたと思います。
宇都宮:確かにありのままの感情で、ストレートに歌えたと思います。
ーー誰しもが一度は経験するテーマだからこそ、より入ってきやすかったのかもしれませんね。
船井:そうですね。
ーー今回は絹本さんとEmilyさんもボーカルパートを担当していますよね。
絹本:自分の声がシングルのリード曲に乗るってことで、最初はすごく緊張しました。でも、もともとボーカル志望だったこともあるので、自分の声を知ってもらえたらいいなと思いましたし、特に今回はお気に入りの歌詞だったので、自分の熱い気持ちとともに歌えたかなと思います。
ーーおふたりの声が、いいフックになっていますよね。
宇都宮:この曲、「おおっ?」となるポイントが多いですよね。
船井:Bメロの途中で歌う人が変わったりとか。完成した音源を聴いたとき、私たちも驚きましたから。たぶん、ファンの皆さんもドキッとすると思いますよ。
絹本:私も改めてEmilyの歌声を聴いて「こういう声をしているんだ!」と気づいたので、新しい発見があって面白いと思います。
ーー演奏面はどうですか? 13人体制になってからはパワフルな曲調が続きましたが、今回はそういうタイプではないですよね。
森:そうですね。「夢がない僕が夢を見みたんだ」はドラムが引っ張っていくぞという気持ちでカウントから入っていたんですけど、今回はボーカルをどれだけ立たせられるかというタイプの曲だと思うので、ぞれぞれの個性が出ている4人のボーカルの邪魔をしないように、後ろから寄り添うドラムのほうがいいのかなと。あんまり主張はしすぎず、でも自分は消さずみたいな感じで演奏できたらいいなと思っていました。
ーーなるほど。ギターのパート分けはどう考えましたか?
絹本:他の2人(HANNA、下島)に対して、私は1曲まるまるブリッジミュートでバッキングをしていて。どちらかというと、リズムを感じさせること重視してレコーディングは頑張りました。
ーー絹本さんは今回、ジャケットにもフィーチャーされています。
船井:まつ毛がいい感じですよね(笑)。
絹本:本当に? ありがとう(笑)。
宇都宮:今までの雰囲気からガラッと変わって、いきなり大人っぽくなったというか。おしゃれな感じに仕上がりました。
絹本:「“仮病っぽさ”があるね」と、よくメンバーから言われます(笑)。
ーーMVも今までとは違った作風に仕上がりましたね。
宇都宮:今回は1日中スタジオの中で撮っていて。グリーンバックだったりマネキンを使ったりと、結構特殊な撮影でワクワクしました。
森:今までは可愛くて元気ってイメージでしたけど、今回は落ち着いていて大人っぽさが出ていますし。おしゃれなザ・コインロッカーズが見られると思います。しかも、今回の撮影では一回も笑ってないんです。
船井:確かに! MVの中でもずっと真顔で、全然笑ってないです。
森:だから、MV撮影の帰り道に「今日、撮影中に一回も笑わんかったわ」って思いましたもん(笑)。でも、ボーカルは笑ってなかった?
船井:(絹本に)ニヤリとしたよね?
絹本:うん、したね(笑)。
宇都宮:MVの台本に書いてあったんですよ、「ここで絹本、ニヤリ」って(笑)。
森:だから、そこの笑顔が引き立つんじゃないかな。あと、曲中の〈Hey!〉とか〈Ah~Ah〉のコーラスのときに、ポーズを取るんですけど、それを13人全員でやるという場面もあって。そのポーズが流行らないかなと、密かに思っています。
ーー次にお客さんの前でライブをしたときに、みんな〈Hey!〉でこのポーズを取るとか。
森:今はライブで声を出せないから、ちょうどよさそうですよね。
船井:それはぜひ観てみたいです(笑)。