宮本浩次「木綿のハンカチーフ」に見る、昭和歌謡の新解釈 カバーアルバム『ROMANCE』に向けて紐解く“懐の深い歌唱表現”
その宮本と小林が出演した『The Covers』(NHK BSプレミアム)。「宮本浩次ナイト」の第一夜としてオンエアされた10月4日の放送では、「『昭和の歌姫、名曲を唄う』~太田裕美・岩崎宏美・梓みちよ~」と題して、「木綿のハンカチーフ」に加え、岩崎宏美「ロマンス」と梓みちよ「二人でお酒を」のパフォーマンスが披露された。なかでも圧巻だったのは「ロマンス」だ。ピアノ・小林武史、ギター・名越由貴夫、ベース・キタダマキ、ドラム・玉田豊夢という編成で繰り出されたこの曲。力強いタッチのリフとビートを背に、黒いスーツに身を包んで無精髭をたたえた宮本が歌い叫ぶ光景は、なんというか、衝撃だった。放送を見たけど原曲を知らない人は、ぜひ岩崎宏美のオリジナルも聴いてほしい。その衝撃具合がわかると思う。
しかしこれもまた、原曲の裏側に隠された激情をさらけ出しているという意味で、実は「木綿のハンカチーフ」同様のアプローチなのだ。「ロマンス」は作詞・阿久悠、作曲・筒美京平という、これまたゴールデンコンビによる作品だが、このどストレートなロックアレンジが楽曲の別の一面に光を当てているといえる。「ロマンス」のパフォーマンスへの反響はすさまじかったらしく、ユニバーサルミュージックは急遽この楽曲を10月12日に配信リリースすることを決定。音源ではどうなっているのかもかなり楽しみだ。そして、11日22時50分からの『The Covers』「宮本浩次ナイト」第二夜にも期待が高まる。
その「ロマンス」「木綿のハンカチーフ」をはじめとした歌謡曲を収録した宮本浩次のカバーアルバム『ROMANCE』が、11月18日にリリースされる。収録楽曲のリストにはちあきなおみ「喝采」、小坂明子「あなた」、久保田早紀「異邦人」、松任谷由実「恋人がサンタクロース」、そして松田聖子「赤いスイートピー」など、昭和を代表する大名曲がずらりと並んでいる。「恋人がサンタクロース」や「あなた」はなんとなく想像がつくけど、「異邦人」を宮本はどう歌うのかな、以前テレビでの歌唱も話題になった「赤いスイートピー」の音源はどんな感じだろう......と想像は尽きないが、いずれにしても驚きの仕上がりになっているのは間違いない。期待して待ちたいと思う。あと、カバーだけのライブというのも見応えがあることだろう。ぜひ機会があればやっていただきたい。
■小川智宏
元『ROCKIN’ON JAPAN』副編集長。現在はキュレーションアプリ「antenna*」編集長を務めるかたわら、音楽ライターとして雑誌・webメディアなどで幅広く執筆。
■作品情報
宮本浩次 カバーアルバム『ROMANCE』
2020年11月18日(水)発売
初回限定盤(2CD)¥3,500 +税
通常盤(CD)¥3,000+税
【収録予定曲】
・喝采
・ジョニィへの伝言
・あなた
・二人でお酒を
・ロマンス
・木綿のハンカチーフ
・化粧
・異邦人
・恋人がサンタクロース
・赤いスイートピー
※オリジナル発売年順
【初回限定盤ボーナスCD収録内容】
宮本浩次弾き語りデモ音源
■その他リリース情報
宮本浩次『P.S. I love you』配信中
(「木綿のハンカチーフ -ROMANCE mix-」収録)
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■宮本浩次 関連リンク
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