yama、シンプルな構成で様々な表情の歌声聴かせた初配信ライブ 新曲「真っ白」から「春を告げる」まで披露

yama、シンプルな構成で様々な表情の歌声聴かせた初配信ライブ 新曲「真っ白」から「春を告げる」まで披露

 ここ数年、YouTubeやTikTokなどをきっかけに、多くのネット発アーティストが脚光を浴びてきた。その中でもyamaは、人の心を掴むスピードがあまりに早かったと言えよう。1本目の歌ってみた動画を投稿したのが2018年。中性的でハスキーな歌声と、それにマッチする絶妙な選曲が話題となり、ネット上でファンが急増。今年春に公開した、ソロ名義初のオリジナル曲「春を告げる」がSpotifyバイラルチャート1位を獲得した。

 性別も、年齢も、出身も不詳。yamaとは誰なのか、何なのか。一切がわからないまま、それでもその歌声ひとつで、聴き手の心をわしづかみにし、中毒者を増やしてきた。ミステリアスな素性とは正反対に、yamaの歌声は非常に饒舌で、聴き手に様々な感情をもたらす力を持っている。

 10月2日、そんなyamaの1st 配信LIVE『Versus the night』が開催された。定刻を迎えると、画面にはフードをかぶったyamaが登場。階段を降りていき、建物に入ると、おもむろに響き始めたエレクトリックピアノの音に合わせて「クリーム」を歌いだした。その歌声はハスキーな少女、はたまたハイトーンな少年か。耳から頭へいともたやすく馴染み、後には確かな芯が残る不思議な声だ。

 心地よく揺蕩うクリームのような思い出を、今は一人で吸うたばこの煙が侵食していく。その甘さと苦さがないまぜになる刹那を描いたこの曲は、新世代ボカロP・くじらが書き下ろしたオリジナル曲。

 井上仁(ALI)のピアノが先行する「優しい人」(原曲:こめだわら(猫アレルギー))。フードや装飾でその表情は見えないが、yamaの歌が何よりも雄弁に物を語る。ピアノソロを経たあと、取り残されたような〈もう何もかも消えてしまえばきっと楽になれる気がしたんだ〉というフレーズが印象的だった。

 その余韻を断ち切るようにして、「Downtown」のジャジーなイントロが始まる。2人が音を奏でる部屋はネオン調の照明が光り、極上の秋の夜を演出。軽快なシンコペーションに思わず体を揺らせば、弱々しい〈あ~もうダメ…〉のギャップに心がやられてしまう。

 yamaはおもむろに立ち上がり、部屋を移動する。次の部屋はシェードランプの光が空間を温かく照らし、一本の木がオレンジ色に輝いている。yamaがソファに腰かけたのを合図に、再びピアノが鳴り出す。砂嵐が流れるテレビには、新曲のタイトル「真っ白」がカタカナで小さく表示されていた。

 『恋愛ドラマな恋がしたい~Kiss On The Bed~』(ABEMA)の主題歌に抜擢された同曲は、メジャーデビューシングルでもある。伸びやかなフレーズの中に高音がちりばめられ、yamaの歌唱表現を堪能できる曲だ。〈夕日が沈むのが早くなりました〉〈少し考えちゃう様な夜が増えました〉と、今夜にぴったりの歌詞がyamaの口から紡がれ、空間を泳いでいく。

 続く「a.m.3:21」。休符の多い複雑なリズムを難なく乗りこなす様には、貫禄すら感じる。激しくなる曲調に呼応するように、yamaの歌は熱を帯び、テレビが明滅する。ハーモニーが次々と生まれては、空間に消えていく。

 「ねむるまち」では〈またね〉と呼びかければ、ピアニストが軽妙なフレーズで答える。まるで2人が内緒話をしているような夜だ。それを我々は、偶然のぞき見している。そんな錯覚を覚えた。

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