yama、シンプルな構成で様々な表情の歌声聴かせた初配信ライブ 新曲「真っ白」から「春を告げる」まで披露

yama、初配信ライブレポ

 一転。キーボードの音色が再びエレクトリックピアノに変われば、「bin」(原曲:こめだわら(猫アレルギー))。2018年に投稿した同曲の歌ってみた動画は、yamaにとって1つの転機になったと言えるだろう。というのも後に、yamaとこめだわらはユニット「BIN」を結成するからだ(直後にイラストレーター「トマト」を迎え3人に)。

 さて、再びグランドピアノの音色に戻る。聴き慣れないフレーズに思わずTwitterを開けば、「新曲?」「初めて聞いた」とざわつくTL。後に、自身から「途中のブルーマンデーという曲はまだ未発表の曲です」とツイートがあった。〈乾かないバスタオルがひとつ〉〈無神経な朝日がカーテンを貫いてもうなんだか眠れないや〉と月曜日を迎える憂鬱の描写。誰だって経験があるだろうシーンの一つひとつが共感を起こし、yamaの歌が自分事になっていく。

 9月に公開された動画ではポップチューンだった「あるいは映画のような」も、今夜は特別にアコースティックスタイル。ここまでノンストップで歌っているにも関わらず、その歌声はピッチもリズムも乱れることなく、圧倒的な歌唱力でクライマックスへ向かっていく。

 満を持して代表曲「春を告げる」。YouTubeでは実に3700万回以上再生されており、この曲でyamaを知った人も多いだろう。その足は時折リズムを刻み、歌は剛と柔を巧みに切り替え、感情がこもっていることが伝わってくる。曲中、yamaはゆっくりと立ち上がり、歌いながら建物内を歩いていく。最後には扉を開け、外へ……我々がyamaの姿を見ることができたのは、そこまでだった。

 長い夢を見ていたが、起きてみるとほんの数分しか経っていなかった。例えるならそんな感覚だ。ピアノ一本というシンプルな構成で、yamaの歌の様々な表情を堪能できた。画面を閉じれば、また日常に逆戻り。そんな儚さも、どこかyamaの音楽らしい。視聴期間が終わるまで、我々はあと何度、この歌を聴きにアーカイブを開いてしまうことだろう。

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■ヒガキユウカ
ボカロ・歌い手を中心にネット音楽シーンを追う編集者兼ライター。インタビュー・コラム・ライブレポなどいろいろ書きます。平成生まれ。Twitter(@hi_ko1208

<セットリスト>
M-1 クリーム
M-2 優しい人
M-3 Down town
M-4 真っ白
M-5 a.m.3:21
M-6 ねむるまち
M-7 bin
M-8 ブルーマンデー
M-9 あるいは映画のような
M-10 春を告げる

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