「XYZ VS XYZ」が見出す、“歌い手文化”の新たな楽しみ方 luzら10組によるコラボの想像以上の味わい深さ
kradness×センラ「Untitled」
静寂と暗闇が沈滞するような仕上がりとなったのは、エレクトロニックの要素を飲み込む「Untitled」。kradnessの伸びる中音と、センラの深みのある低音が、耳の奥に余韻を残す。それは、終わりに近づくにつれて、気付いたらまた欲しくなるようなカクテルに似ている。
センラ×nqrse×まふまふ「ALIBI」
XYZメンバーには不可欠なニコラッパーとして活躍するnqrseを中心としたラップが炸裂する展開かと思えば、まるで、危険な香りのするカクテルのように大胆な曲調へと変わっていく。センラ、nqrse、まふまふの3人が、シンセと挑発的なトラップビートが繰り出すロックチューン「ALIBI」の作詞作曲を手がけた。
複数の歌い手出身アーティストが集結したXYZで生み出すコラボ楽曲は、仲間内で動画サイトに公開するそれとは異なり、予想外の組み合わせを可能とする。何通りものカクテルという形で異なる味わいのお酒を楽しめるように、何通りもの魅せ方ができるほどに、彼らは飛び抜けて輝く。誰もが個性を最大限に生かせるXYZは、リスナーには“至高の夜”を、歌い手出身アーティストには、活動初期を振り返ることもできる誇り高い場所を提供している。XYZのカクテルは、想像以上に味わい深いのだ。
■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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