DOBERMAN INFINITY「ガッツだぜ!!」リメイクに込めた“ヒップホップ精神” 原曲リスペクトとアイデア溢れるリリックに注目

ウルフルズ『バンザイ』

 DOBERMAN INFINITYが、ウルフルズのヒット曲「ガッツだぜ!!」をリメイクした新曲「ガッチだぜ!!」のミュージックビデオを公開した。

 「ガッツだぜ!!」といえば、1995年12月にリリースされたウルフルズの9作目のシングル。ディスコロックの軽快なサウンドとキャッチーな歌詞、そしてコミカルなミュージックビデオが話題となり、じわじわと売り上げを伸ばし最終的には約66万枚の大ヒットを記録。翌年末には『NHK紅白歌合戦』に初出場。メジャーデビュー前からライブ人気はあったものの、CD売り上げが伸び悩んでいた彼らはこの曲で見事ブレイクを果たした。

 発売から25年を経た今年、DOBERMAN INFINITYがヒップホップ調にリメイクし、令和版の応援歌に生まれ変わらせた。GSは小さい頃からカラオケで歌っていたといい、「運命的にこういう話をもらってぜひチャレンジしたいと思った」と並々ならぬ思いを語った。

ウルフルズ – ガッツだぜ!!

 9月8日にLDHの公式YOUTUBEで配信されたMVでは、随所に原曲へのオマージュが登場する。「ガッツだぜ!!」は、トータス松本扮する殿様がステージ上でリサイタルを行い、家臣らが必死にそのお膳立てに奔走し、民衆たちが大盛り上がりするというコメディ仕立て。殿様のオレンジの着物や、忍者ダンサー、舞い散る紙吹雪などが印象的で、30代であればほとんどの人が頭にイメージが浮かぶのではないか。

 リメイク版である「ガッチだぜ!!」の舞台設定はガラの悪い店員がたむろするバーバーショップ。そこへメンバー5人が来店し、熱いエールをぶつけ、最終的にはダンスパーティーで盛り上がるというストーリーだ。設定を大幅に変えオリジナル性を強調しているが、元ネタからのサンプリングが大量に見つかる。例えば、爆風をバックに始まるタイトル、メンバー5人を引き連れるように登場する”ウルフ”、紙吹雪が舞う演出、現代風にアレンジされているものの印象的なシンセサイザー演奏、座り込んで丼をかきこむ巨漢の男、舞台で踊る2人組のダンサー、自転車を漕いで発電する男など。

 最大のサプライズは、トータス松本の“ご本人登場”だ。曲の終盤、音が止むとどこからか拍手が聞こえる。その主はこの店のオーナー(トータス松本)。メンバーのパフォーマンスをねぎらい、5人と笑顔でハイタッチを交わす。そしてフィナーレは、原曲と同様に拳を突き上げ全員で行進するというもの。

 トータス松本は「25年前の曲が、いろいろな人にカバーしてもらって別の曲になっていくのを見ているのも面白い」と感想を話している。ロックの「ガッツだぜ!!」をヒップホップグループがリメイクした意外性はあるが、ウルフルズの飾らないカッコよさ、ユーモアと情熱あふれるキャラクターは、DOBERMAN INFINITYの目指すアーティスト像とも重なるのかもしれない。アイドル的人気ではなく、年齢を重ねたことによる男らしさや、深みを増す彼らの目標にもなっているだろう。

DOBERMAN INFINITY – ガッチだぜ!! – (Official Music Video)

 歌詞の違いにもリメイクへのこだわりが表れている。原曲では〈そんな弱気で どーすんの/グッと飲んで パッとやって Try Try Try/たまにゃ外して Feel So Good/万が一 金田一 迷宮入りする前に〉と歌い、まるで背中を叩いてくれるような熱い応援ソングだ。リメイク版の「ガッチだぜ!!」の歌詞を見ると〈やるときやらないでどうすんの/雨天決行! 上げなテンション! Try Try Try Feel So Good/全部チャンス! good luck! 明日を生きる為に!>とある。まるで、手を取ってネガティブな世界から救い上げてくれるような優しい応援ソングではないだろうか。“明日を生きるために”という言葉選びに表れているのは、令和における多様性への寄り添いのように感じられる。

 特に注目したいのが、メンバーの中でも特にフロウに定評のあるKUBO-Cのバースだ。〈あのお偉いさんすら高卒/けど勝ち抜いてんだ競争/一つのことコツコツ勝つまで/なんだってガチでやれCatch the wave〉というリリックには、深い意味が込められている。

 かつて低迷していたウルフルズがバンド人生の勝負をかけて作り上げたのが「ガッツだぜ!!」。「ガッツだぜ!!」という印象的なフレーズには誕生秘話がある。70年代ディスコミュージックの代表格として知られるKC and the Sunshine Bandの「That’s The Way (I Like It)」を聴いたトータス松本が、「That’s The Way」から着想を得て「ガッツだぜ!!」というフレーズを生み出したというのだ。このサンプリングは鳥肌ものだ。MVの演出以上に「ガッツだぜ!!」へのリスペクトを感じさせる。

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