chelmico×長谷川白紙 特別対談 ルーツ音楽、ファッション、お笑い……自身を構成する“好きなモノ”を語り合う

chelmicoのラップを聴いて「声」の持つ力に気づかされた

ーー3人は、コロナ禍で何か変化はありました?

Mamiko:家の中を強化しました。エスプレッソマシンを買ったり、ロッキングチェアを買ったり。家にこもるのめっちゃ好きだから、楽しむように工夫しましたね。

Rachel:私はゲームの配信を始めました。自分のチャンネルを持ったし、機材とかも詳しくなったので「進化」した感じがします(笑)。ゲーム実況ってラジオ的な機能も果たしているというか。自分の近況とか、思っていることとかを観てくれている人とチャットで話したりとか、コミュニケーションが取れるので楽しいですね。

長谷川:最近はずっとフェミニズムの本を読んでいます。映画を見るのはもともと好きなんですけど、家にこもる時間が長くなってからはアピチャッポン・ウィーラセタクンの作品をめっちゃ見ていましたね。あと、アレハンドロ・ホドロフスキーがDOMMUNEにリモート出演していたのがきっかけで、ホドロフスキー作品も見返していました。

ーーアピチャッポンもホドロフスキーも映像が印象的ですが、やはりそういったテクスチャーに惹かれることが多いですか?

長谷川:そうなのかもしれないです。今、そう言われてハッとしました。あと、お洋服を買う量が半端じゃなく増えましたね、着て出かける機会も減っているのに(笑)。そこは変わったところかな。

Mamiko:通販で買うんですか?

長谷川:そうですね。やめたいけど、楽しくてやめられない。コレクターズ気質のところもあって、自分が本当に似合わないと思う服でも「アーカイブとしての価値がある」と思ったら買ってしまうんですよ。それが結構、ヤバいんです。

Mamiko:えー、気になる。クローゼット見てみたい。

Rachel:いつも可愛いお洋服着てるもんね。

長谷川:最近はクレイグ・グリーンというデザイナーの服を買ったんですけど、カーキの生地にオレンジで刺繍がしてあって、そでに手袋がついているんですよ。「多分似合わないだろうな」と思いながらも刺繍が綺麗なので買ってしまいました。

Rachel:今、調べてみたけど、確かに似合う人が限られそうな服だ(笑)。

長谷川:そうなんです(笑)。クレイグもそうですが、テック系の服に最近惹かれることが多くて。というのも、性別を必要としない服という意味では、現代だとテックファッションが一番近いのかなと思うんですよ。要するに「機能性」がまず優先される。そこから拡張されたり異化されたりする部分はあると思うんですけど、基本的には性別を要求しない服なのかもしれないなと。そう思ってからは、着ていて快適というか。自分の中でも辻褄が合った気がしたんです。

Rachel:確かに、白紙さんはテック系の服のイメージはあるね。似合っているし。

長谷川:ありがとうございます。

ーー今日は、3人から音楽以外の話もたくさん聞けて楽しかったです。最後に、アフターコロナの世界でどんな活動をしていきたいと思っているかを教えてもらえますか?

長谷川:コロナ禍になってからの影響は特にないんですけど、最近は「音色」への興味が湧いてきていて。例えば自分の新作『夢の骨が襲いかかる!』では、音色や発声をコラージュしたり積み重ねたりしていくこと、楽曲のコンポジションや文脈だけではなく「音色の連なり」をフェティシズム的に楽しむというか。そういう方向に自分の関心が向かっていっているのは、それこそ「ごはんだよ」を作っているときにchelmicoの2人のラップを聴いて、「声」の持つ力に気づかされた部分もとても大きかったんですよね。

Mamiko:へー! なんか嬉しいなあ(笑)。

Rachel:chelmicoとしては、先日配信ライブをやったときに自分たちのアイデアをいっぱい出せたんですよ。単にライブをやるだけじゃなくて、色々演出を加えたりテーマを決めたり、セットや美術を自分たちのお部屋みたいにしたりしたのがすごく楽しかったので、今後さらに自由に出来たらいいなと思っています。「配信」ならではの強みというか、そういうものをもっと出す方法をこれからは追求していきたいですね。

長谷川:逆に、ライブでしか表現できないことってなんですか?

Rachel:それはもうシンプルにお客さんがその場所にいることだと思う。それだけで自分のテンションは上がっちゃうし馬鹿でかい声も出る(笑)。chelmicoの曲はコール&レスポンスも多いし、そこでお客さんの声がないとテンションが盛り下がっちゃいますよね。とにかく、ライブでしか得られない興奮や緊張感というものがあって、そこから得られる表現はライブならではだと思う。

長谷川:聞けて良かったです。私みたいにインターネットで全てが解決すると思い込んでいるタイプの輩は(笑)、そういう空気感、同じ時間を共有していることへの理解の解像度がちょっと低いなあと思っていて。さっき「音色」の話をしましたけど、ライブの「空気感」も音楽が持っている「音色」の一つだと思うし、それも込みで作品を作ってきたchelmicoのお2人が「配信」という形でどんな世界を見せてくれるのか、これからも楽しみにしています。

Mamiko&Rachel:頑張ります!

■chelmico リリース情報
3rdアルバム『maze』
2020年8月26日(水)リリース
<形態>
初回限定盤 [CD+DVD] ¥3,500 + 税
通常盤 [CD] ¥2,800 + 税
購入はこちら

『maze』特設サイト

■関連リンク
chelmico公式サイト
chelmico公式Twitter
chelmico公式Instagram
chelmico YouTubeチャンネル

■長谷川白紙 リリース情報
『夢の骨が襲いかかる!』
完全生産限定CD
2020年7月8日(水)リリース
¥1,800(+税)
発売元:株式会社ミュージックマイン
販売元:株式会社ウルトラ・ヴァイヴ

長谷川白紙 Twitter
長谷川白紙 YouTubeチャンネル

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