chelmicoから感じる“時代の寵児”としてのポテンシャル ブレイク背景と巧みなラップスキルを分析
最近、「なぜchelmicoに注目が集まっているか?」「chelmicoがタイアップに選ばれる要因は?」という記事を目にする機会が増えた。そこでつらつらと思い出したのは、先日、ハタチそこそこの編集者との会話で生まれた、90年代後半~00年付近のPUFFYがいかにとんでもないスターだったかの説明だった(とはいえ、PUFFYはいまも現役で活動されているので、「往時の」といった扱いをするのが非常に失礼なのは百も承知なのだが……)。
しかしジェネレーションギャップか、『アメトーーク! 』(テレビ朝日系)の時間帯に冠番組『パパパパパフィー』を持ち、出す曲はすべてスマッシュヒット、奥田民生をはじめとする敏腕ミュージシャンに囲まれ、雑誌の表紙は当たり前……という当時のブレイクっぷりを伝えても、いまいちピンとこないようだ。
無理もない。あれほどのメディアスターとなるような「アーティスト」が現在いるのか、と言われれば、現在は見かけづらいし、想像もつかないだろう。そこで筆者が例に出したのが「ネクストPUFFY」とも言われるchelmico。例えばchelmicoが上記のような存在になったら……という話をしたら「なるほど! そういうタイプのスターだったんですね。その例えで分かりました」との反応を得られた。
その若い編集者がそう理解できたように、PUFFYとchelmicoには多くの共通点がある。女性二人組であること、キュートであること、仲良しであること、ガツガツしないこと、オシャレであること……といった外側の部分に加えて、音楽的なクオリティが高いこと、パフォーマンス力(ボーカル/ラップ)が高いこと、「いま現在」を象徴する音楽であること、そして誰も傷つけない音楽であること。そういった様々な要因が共通している。
そういった意味でも、chelmicoも時代の寵児となり、例えばこの先冠番組を持つような存在になってもそこまで驚かないし、普通にテレビ番組で活躍する姿も想像できる。また上記のような共通点は、時代の要請でもあるだろうし、その要請に応えられるキャラクター性、そして彼女たちの「ピースフルさ」という部分が、爽健美茶のCMに起用された「爽健美茶のラップ」やApple WatchのCM曲に使用されている「Player」(1stアルバム『POWER』収録曲)、「switch」のVTuberドラマ『四月一日さん家の』オープニングテーマ採用などに繋がっているだろう。