ヒプノシスマイク 中王区が体現する“楽曲でねじ伏せる”コンテンツの強さ Reol書き下ろし「Femme Fatale」を考察

 これまでの『ヒプマイ』では「憎まれ役」だった中王区。だが、この曲のトレーラーには数多くの中王区支持のコメントが寄せられており、ファンの見方が一気にひっくり返ったのが感じられる。今まで『ヒプマイ』に関心のなかった層からの反響も散見されるのが特徴的だ。タイトルの「Femme Fatale」は「運命の女」という意味を持つが、「男に対しての女」ではなく、あくまでも独立した個人として運命をつかみ取っていくような強さがこの曲にはある。〈もっと試したい己〉というフレーズがその象徴とも言えるだろう。

 2017年に初めてヒプマイの楽曲が発表された時、ヒップホップに関心のない層までが一気に引きずり込まれ、現在まで続くムーブメントとなった。「楽曲でねじ伏せる」このコンテンツの強さを、今回の「Femme Fatale」で再び見せつけられたように思う。

 新たな角度で中王区という存在を目の当たりにした今、「全ディビジョンvs中王区」がどのような決着を見るのか――どう決着してほしいのか。改めて揺さぶられる1曲だ。

■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。
Twitter(@erio0129

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