浜崎あゆみが見せた“アーティストの性”と“母としての姿” 「Dreamed a Dream」「オヒアの木」に映し出されたストーリー

浜崎あゆみが見せたアーティストの性と母の姿

 さて、そんななかでも、本人の前進は着々と続いていた。7月25日には初の無観客オンラインライブ『ayumi hamasaki PREMIUM LIMITED LIVE A 〜夏ノトラブル〜』を開催し、リアル以上に気合いの入った1時間半のステージを展開。オープニングに〈教えてよねぇ あなたならこの時代をどう生きる〉と祈るような「Mad World」を、中盤に〈破壊する事により 創造は生まれるという事を 君は知ってる〉と現実逃避を糾弾するような「talkin' 2 myself」を持ってきて、コロナ禍で弱っているであろうファンの背中を押したのはさすがだった。近い未来での再会を約束するような締めの「The Show Must Go On」のパフォーマンスも、なんと力強かったことか。

浜崎あゆみ / Dreamed a Dream (official audio)

 その勢いのまま、7月31日には「Dreamed a Dream」をリリース。復帰した小室哲哉とタッグを組んだアッパーチューンだ。このタイトル、そう、『レ・ミゼラブル』の劇中歌と同じ。『レ・ミゼラブル』では「夢やぶれて」という日本語訳がぴったりの哀しい曲だった。浜崎あゆみのこの「Dreamed a Dream」にも、〈粉々に砕け散ったあと〉と歌詞にあるから、主人公は一度夢やぶれている。だが、〈無様でもいいと 這いつくばってた〉と続く。〈諦めきれなくて〉必死に夢にしがみついてもがく姿が延々と歌われていくのだ。その主人公は、一度引退した小室哲哉であり、稀代の歌姫と揚げ祀られたayu自身でもあるだろう。もちろん、人々は彼女らに「夢をかなえたじゃないか」と言う。頂点に立った人でなければ、何に夢やぶれたのか、そこにどんな想像を絶する苦悩があったのか、わかるはずもない。その苦さを味わってもなお、小室哲哉は復帰し、浜崎あゆみは〈今だって 一緒の夢を夢に見てる〉と夢の夢でも夢見ることを全肯定する。それはもうアーティストの性(さが)としか言いようがない。その覚悟の領域は誰にも侵すことができないのだ。

 引退を撤回してボロボロになるまで現役を続けた伊達公子然り、32歳で復帰してアイスダンスに転向した高橋大輔然り、53歳にしてJリーガーの現役最年長記録を更新し続けている三浦知良然り。気がすむまでとことん戦うことを誓った人は強い。そんな信念に貫かれた浜崎あゆみの「Dreamed a Dream」なのである。

■リリース情報
浜崎あゆみ
「オヒアの木」
7月5日(日)リリース
配信リンクはこちら
歌詞はこちら

「Dreamed a Dream」
7月31日(金)リリース
配信リンクはこちら
歌詞はこちら

『ayumi hamasaki COUNTDOWN LIVE 2019-2020 ~Promised Land~ A』
8月26日(水)リリース
形態:全4形態
予約リンクはこちら
収録楽曲、特典等の詳細はこちら

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