浜崎あゆみが綴る、相手への思いが色濃く表れた歌詞 ドラマ『M 愛すべき人がいて』に反映されたフレーズにも注目
土曜ナイトドラマ枠で放映中の『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系・毎週土曜23時15分〜)が、SNSを中心に盛り上がりを見せている。本作は昨年出版された小松成美による同名小説の実写化。2018年に歌手デビュー20周年を迎えた浜崎あゆみへの取材を基に、“事実に基づくフィクション”として著された物語で、主人公・アユが敏腕プロデューサーに見出され、スターダムへと駆け上がっていく様と、彼との禁断の恋を描いている。主演には、昨年デビューしたばかりの新鋭・安斉かれんが抜擢されたほか、プロデューサーのマサ役を三浦翔平が務め、歌姫誕生の前日譚を活写。大映ドラマを彷彿とさせるトンデモ展開や、濃いめのサブキャラを演じる田中みな実、水野美紀らの怪演も相まって、初回5.6%と深夜帯としてはなかなかの高視聴率を叩き出した。
本作の見どころというと、やはり楽曲の使われ方だろう。まずタイトルに掲げられた「M」自体が浜崎の黄金期を象徴するナンバー。2000年末に発売され、累計131万枚を売り上げる大ヒットを記録した。当時、「M」とはサビに登場する“マリア”の頭文字と考えられていたが、原作本の中で現在エイベックスのCEOを務める松浦勝人氏(ドラマではマサと名乗る)のイニシャルであることを明言。ドラマでは浜崎本人の歌唱するバージョンが主題歌に起用され、物語の結末を暗示する役目も担っている。
ストーリーと楽曲とのリンクもところどころに散りばめられており、たとえば1話でマサがアユに電話するシーンでは、〈初めての電話は受話器を/持つ手が震えていた 2回目の電話はルスデンに/メッセージが残っていた/7回目の電話で今から会おうよって/そんなふつうの毎日の中始まった〉という「appears」の歌詞をなぞったような展開が描かれた。また、1話、2話ともにドラマの終盤、アユとマサが見上げる空に虹がかかる演出は、2002年にリリースするアルバム『RAINBOW』への布石とも見て取れるし、収録曲の「everywhere nowhere」には〈空は少し遠いけど/虹の終わり探しに行こう/誰も見たことのない/景色を探しに〉というフレーズもがあることからも“虹”がスターへの道を表していると想像がつく。さらに、3話ではアユが砂浜に「あなたの愛が欲しいよ」とデビュー曲「poker face」の歌詞の一部をしたためるシーンも登場し、ファンを沸かせた。