いま注目の10代バンド、リュックと添い寝ごはんとは 初の配信ワンマンライブを目前に、これまでの歩みと魅力を分析
リュックと添い寝ごはん、というバンドをご存知だろうか。というか、この言葉の並びを見て、バンド名なのだと一発で分かる人なんているのだろうか。
東京を拠点に活動する3ピースバンド、リュックと添い寝ごはん。結成は2017年。同じ軽音楽部に入った当時高校1年生の松本ユウ(Vo/Gt)、堂免英敬(Ba)、宮澤あかり(Dr)が一緒にバンドを組むことになった。ちなみに、不思議なバンド名は宮澤発案とのこと(参照:OKMusic)。結成すると「Eggs」にオリジナル曲の投稿を開始。「Eggs」とは、タワーレコードとレコチョクの2社による、インディーズおよび新人アーティストの活動を支援するサービス。アーティストは音源を無料でアップすることができて、リスナーはその音源を無料で聴くことができる。
そこから人気に火がついた。「Eggs」内のランキングでは常に上位にランクイン。2019年の年間ランキングでは、アーティスト・楽曲ともに1位を獲得した。楽曲部門で1位を獲得したのは「ノーマル」という曲だが、他にも「サニー」が4位に、「モノラル」が6位に入っている(参照:Eggs)。「Eggs」の主なユーザー層は、若年層かつ早耳の音楽ファンであり、ここで支持を得たということはつまり、ネクストブレイク候補として注目されているということ。ロッキング・オン主催オーディション『RO JACK for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』での優勝、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』への出演もバンドの勢いを後押しした。
リュックと添い寝ごはんの曲を聴くとまず、松本の歌声に耳が行く。中~低音域をゆったりと歌う、温かみのあるハスキーボイス。楽器隊は過度な主張しすぎず、歌とメロディ、言葉を聴かせるためのアレンジが施されている印象だ。作詞作曲を手がける松本は、自身の想いを飾らず綴るタイプのソングライター。今年3月にリリースされた初の全国流通盤『青春日記』では、10代特有の空虚と希望ーー過去の日々を通り過ぎたものとして見つめたときに感じる寂しさと、それでも明日を信じて視線を上げようとする気持ちが描かれていた。〈ここからだ〉(「青春日記」)、〈歩み続けるのさ〉(「サニー」)、〈そのまま駆けてゆけ〉(「グッバイトレイン」)など、各曲のラストに歌われるフレーズが曲中で最も力強い言葉であるのも特徴的だ。