森高千里、ファン投票ベスト10を歌唱 映像とパフォーマンスの融合で魅せた初配信ライブ
お客さんの顔を思い出しながら歌うことができた
5位には「17才」。1989年にリリースした南沙織の同名曲のカバーで、この日は当時の衣装を彷彿とさせる、フレアのミニスカート姿で歌唱した。ユーロビートのサウンドに乗せて振り付けも披露し、往年のファンを沸かせた。4位は1990年の「雨」、3位は1993年の「渡良瀬橋」と、しっとりとした楽曲が並んでランクイン。まるで雨に打たれるように、上を向いて手を広げて歌った「雨」。「渡良瀬橋」では、間奏でアルトリコーダーのソロを聴かせ、どこか懐かしくて牧歌的な情景が目の前に浮かんだ。
2位の「私がオバさんになっても」は、本人も予想外だった様子。1992年にリリースされた森高千里を代表する1曲で、軽快なステップを踏みながら歌唱した。客席を指差したりクラップしたりと、生のライブさながらのパフォーマンスで視聴者を盛り上げた。
そして、栄えある1位に輝いたのは、1990年にリリースされた「この街」だ。2位を引き離してダントツの1位だったとのことで、昨年の『この街』と題したツアーで歌ったことで印象が残り、ランキングに影響を与えたのではないかと森高は分析。動きに合わせてキラキラとしたCGが重なり、歌詞に出てくる蛍が飛んでいるような、配信を活かした演出でも魅せた。間奏では熊本弁のセリフも披露され、全国の視聴者を笑顔にしたことだろう。
ライブを終え、「最初は(自分が)盛り上がれるかな? と不安で、緊張もありました」と話した森高。しかし「途中から“去年のツアーではこんなお客さんがいたな”と、お客さんの顔を思い出しながら歌うことができて、こういうライブも良いかもと思いました」と、配信ライブならではの魅力を感じた様子。このランキング結果は次のツアーの参考にするとのことで、「また面白い企画があればスタッフと練りたいと思いますので、みなさん楽しみにして待っててください! 私も楽しんで歌わせていただきました。ありがとうございました」と、手を振りながらステージを後にした。
ライブ終了後、1996年の「むかしの人は…」をBGMに、エンドロールではリクエストに投票したファンの名前をずらりと発表。ライブに参加した実感がより沸く、ファンにはたまらない演出だ。今回ランキングからは漏れたが、「ザ・ストレス」や「ララ サンシャイン」など広く親しまれれる名曲を数多くレパートリーに持つ森高千里。ぜひ第2弾も検討してほしいと思うライブになった。
■榑林 史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も。