スピッツとエレファントカシマシがくれる、明日を生き抜く力 『音楽の日2020』円熟味と信頼感溢れるステージへの期待

 2019年は宮本浩次(Vo)のソロ活動中心だったが、2021年の結成40周年に向けて徐々にエレファントカシマシとしての活動の活発化が予感される今年。番組で演奏する予定の「俺たちの明日」は2007年に現在のレーベルに移籍した際の第1弾シングルだ。リリース当時もCMタイアップで広く知られることになり、収録アルバム『STARTING OVER』はオリジナル作品としては10年ぶりにチャートのトップ10入りを果たすなど、バンドの転機となった曲の1つである。2019年にTBSドラマ『集団左遷!!』の主題歌になったことに併せて『音楽の日』では昨年も演奏されていたが、今年の披露にはまた強い意思が込められているように思う。

エレファントカシマシ – 「俺たちの明日」

 あの頃と違う、どこか遠い場所で生きる友人に向けて問いかけ、自らをも鼓舞する形で進むこの楽曲。誰もが今までと同じでいられなくなったこのコロナ禍ではまた響き方が違う。常に誰かとの距離を感じることが増えたこの数カ月。この歌が持つ“遠くに向けて濃い想いを贈る”という性質はより意義深く、求められているはずだ。彼らにとっては不遇の時期を経てようやく出せたシングルであり、心の底からのエールがたぎるこの曲だからこそ押せる背中や寄り添える不安がきっとある。

 放送では「俺たちの明日」に勇気づけられたリスナーからのエピソードと併せて披露される予定となっている。ドラムの一撃と共にこちらが気圧される勢いでまず放たれる〈さあ がんばろうぜ!〉の響きが、画面越しでも視聴者を改めて昂らせてくれることだろう。個人的には、最後の囁くような〈さあがんばろうぜ〉にいつもそっと勇気づけられるので、放送では余すことなく味わいたいと思う。

 2018年3月、エレファントカシマシはデビュー30周年を記念したさいたまスーパーアリーナ公演でMr.Childrenと共にスピッツと競演している。長い活動歴を経たバンド同士の確かなリスペクトがある関係性だ。円熟味と信頼感を兼ね備えた今の彼らのステージが『音楽の日』を通して、多くの視聴者に今、明日を生き抜く力を与えてくれるはずだ。

■月の人
福岡在住の医療関係者。1994年の早生まれ。ポップカルチャーの摂取とその感想の熱弁が生き甲斐。noteを中心にライブレポートや作品レビューを書き連ねている。
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