TikTokで「香水」がヒット、瑛人とは何者か? サビの“ドルチェ&ガッバーナ”の秘話も明らかに
人と話したり、刺激的なことがあったりした時に曲ができる
ーー様々なアーティストの方もカバーしていますが、ヒットを実感したタイミングはいつごろでしたか?
瑛人:「ちょっとバズったかな」って思ったのは、今年の4月中旬くらいです。YouTubeで10万再生いったんですよ。そこで「みんなに10万いったぜ!」って言って、ちょっとバズったなって思ったら、そこから300万、500万ってなって、もう訳がわからない状況で。TikTokでもみんな歌うようになって……そこからですかね。気にし始めたのは。
ーーどんな部分がヒットにつながったと思いますか?
瑛人:僕はメロディと歌詞、やっぱりサビの〈ドルチェ&ガッバーナ〉がハマっているかなと。内容としてはちょっと昔に戻りたいという、みんながどこかで持っているような気持ちを歌っていて、そういうところで引っかかってくれたのかな、と思ったり。あと匂いってすごく記憶に残るものだからかな。でも、匂いをテーマにしたことがいいのかどうか、僕はわからなかったです。
ーー匂いってふと嗅いだ時に思い出すと思うので、多くのリスナーに刺さる内容だなと思います。「香水」のリリースから一年くらい経ちますが、その間に音楽に向き合う姿勢や制作に何か変化はありましたか?
瑛人:前までは全部自分のペースでやっていて、歌いたい時に歌う、思いついたときにやる、遊びながら音楽をする、というような感じでした。今は事務所に入って、周りのみんなに協力してもらったりして、もっと強くなった気がしています。「香水」のヒットがあるまでは、音楽でお金を稼いで頑張るって、もちろん心のどこかにはあったんですが、現実的に25歳までに何も届かなかったら普通に働こう、って。今はそういう気持ちが一切なくなりました。もう一生やっていこう、頑張りたいなと思っています。
ーープロとしての覚悟や決意が生まれたんですね。
瑛人:はい。ずっとソロでというより、バンドとか、何でもやりたいです。まだ自分のスタイルがわかっていないので。でもやっぱり自分で曲は作っていきたいです。
ーー瑛人さんの曲は、「香水」はもちろん、歌詞だけでなく「HIPHOPは歌えない」や「シンガーソングライターの彼女」などタイトルも視点が独特だと感じました。過去にラブコメ映画をよく見ていたこともあったということですが、制作の際にインスピレーションを受けているものはありますか?
瑛人:人と一緒にいるときに生まれることが多いです。「HIPHOPは歌えない」という曲は、僕が働いているハンバーガー屋のオーナーの言葉を受けて書いた曲で。オーナーはすごいHIPHOPな人で、“漢”という感じがしてかっこいいんですよ。僕はオーナーから「お前はリアルじゃねえんだよ」みたいなことをよく言われるので(笑)、HIPHOPは本当に“漢”で、ワルっていうイメージがあって、僕はそうじゃないな、と。だから「HIPHOPは歌えない」と、本当にそのまま思ったことです。そうやって人と話したり、何か刺激的なことがあったりした時にできることが多いです。ほぼほぼ自分の経験からですね。
ーーなるほど。友達と遊んだりしている中でも、音楽が生まれることがあるのでしょうか。
瑛人:音楽をやっていない人と一緒にいても生まれるし、音楽をやっている人たちと音楽で遊んでいるときも生まれるし。でもまだ曲は少ないですし、そんなにいっぱいやってきた感はないんですよ。勉強中ですね。
ーー「香水」は今TikTokを中心に流行っていますが、制作時にSNSを意識することはありますか?
瑛人:今まで全く意識していなかったですね。TikTokは普段あまり見なかったので、流行っていることに気がつくのがすごく遅かったです。YouTubeはたまに見るんですけど。Instagramでいっぱいタグづけされるようになって、友達から「この人が歌ってたよ」って言われて、「うわやば!」みたいな。
ーー制作の際に大切にしていることや、軸になっていることはありますか?
瑛人:仲間とのセッションだったり、音楽で遊んでいる時間を一生忘れないでいきたいなと思っています。背伸びせずに。
ーー今後やってみたいことはありますか?
瑛人:大きいところでライブをしたことがないので、観客がたくさんいる前でライブがしてみたい。あとは、全国のみんなに挨拶をしにいきたい。フィーチャリングも色んな人としたい……無限大です、こだわりはありません。
ーー今は色々とライブも制限がある中ですが、ぜひ大きいところで観たいですね。
瑛人:今までは自主企画で横浜のバーみたいなところを借りて、50人くらい呼んで、お酒を飲んでやる、みたいなのが多くて。ライブハウスで一回だけやったことがあるんですが、ステージが高い位置で照明があって……もうガクガクになっちゃいました(笑)。
ーーいわゆる“ステイホーム”期間中はどんな風に過ごされていましたか?
瑛人:実はあまり制作はしていなくて、お酒を飲んで昼まで寝てコンビニに行く、みたいな生活で(笑)。でも、振り返るとほとんど毎日リモートで色々な方たちと音楽について話してましたね。ルンヒャンさんも一緒で。僕は音楽業界の大人の人と話したことがなかったので何もわかっていなかったんですよ。それでルンヒャンさんが助けてくれたり、「なんかワクワクするね」と言ったり。ちょっと疲れましたけど、楽しかったですね。思い出です。
ーー色々と新しい経験もあったと。これからオンラインのイベントやフェスへの出演も増えてくるかと思いますが。
瑛人:ちょうどこの間オンラインフェスに出ましたが、みんなが温かくて、いいスタートダッシュを切れたと思っています。
ーーここからどういう曲が生まれるのかも楽しみなところですよね。
瑛人:どういう曲が生まれるかは……まだわかりません(笑)!
ーー可能性は無限大ですね。
瑛人:そうです! うわー優しい(笑)!