平手友梨奈、ミセス「WanteD! WanteD!」サイドストーリーMVに欅坂46ファンも湧く理由 演出やパフォーマンスから読み解く
平手とMrs. GREEN APPLEの出会いは、2017年8月に新木場スタジオコーストで開催された『未確認フェスティバル2017』。平手はフェスの応援ガール、Mrs. GREEN APPLEはゲストライブとして出演。そのステージで披露していたのが「WanteD! WanteD!」だった。当時、『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)「GIRLS LOCKS!」の放送でパーソナリティーの平手は、ライブの打ち上げに参加し、メンバー5人と「サイレントマジョリティー」や「不協和音」を踊ったことを明かしている(参考:SCHOOL OF LOCK! 未確認フェスティバル2017ファイナルステージ振り返り♪)。その後も親交を深め「WanteD! WanteD!」は平手にとって一番好きな楽曲になっていった。
MV公開後の反響を見ていると、コラボレーションとして平手やミセスのほか、欅坂46のファンからも絶賛の声が上がっている。MVのストーリーとしては、2017年に公開された「WanteD! WanteD!」のMVとリンクしている点、平手のパフォーマンスに注視すると、これまでのキャリアの集大成とも言える陰と陽、2人の人物像が見えてくる。
表現のベクトルは違うものの、近しい作品が「角を曲がる」。鬱々とした平手と柔和な笑みを浮かべる平手、2人が対峙する作品だが、「WanteD! WanteD!」では自分の弱さから逃げる平手と弾けた笑顔で夜の街に溶けていく平手が対照的に描かれている。海辺でカメラに向けて舌を出し、咆哮する平手の姿は新境地と言っていい。
今回の「WanteD! WanteD!」MVで特筆すべきは、舞台が渋谷の街であること。間奏からDメロにかけて、平手がスマホを向ける場所は渋谷ストリームだ。「サイレントマジョリティー」MVは、再開発中の渋谷駅工事現場で撮影され、後に渋谷ストリームが完成。渋谷ストリームのオープンイベント、併設の渋谷ストリームホールのこけら落としは欅坂46が担当している。そんな平手にとっての始まりの地から、再び音楽活動を歩み出す姿と〈僕らは生きている〉という歌詞が力強くリンクしていく。
〈間違いながらも/逃げるのに慣れて/【愛】に気づけなくなっている〉
〈いつか綺麗な/大人になれるかな〉
ラストは口ずさむ平手が自身を抱きしめ、夜空の流星を鋭い眼光で見上げる。表現者・平手の存在を改めて照らし出す、「WanteD! WanteD!」はリスタートに相応しいコラボレーションだ。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter