ドリカムのライフソングはなぜ胸を打つ? 「何度でも」「YES AND NO」歴代医療ドラマ主題歌がくれる“前を向くための活力”
7月16日からスタートする石原さとみ主演 木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)主題歌として書き下ろされたDREAMS COME TRUEの新曲「YES AND NO」。同曲が収録されている54枚目の両A面シングル『YES AND NO / G』が、本日7月1日に発売された。同ドラマは、当初4月9日から放送予定だったが、新型コロナウイルスの影響により約3カ月後ろ倒しでのスタートとなる。
『アンサング・シンデレラ』は、主人公の若手薬剤師が葛藤を繰り返しながらも成長していくストーリー。ドリカムの前向きな楽曲とのケミストリーにも大きな注目が集まっている。本稿では、これまでドリカムが手がけたドラマ主題歌をいくつか紹介しながら、“ドリカム×ドラマ”が持つ魅力を紐解いてみたい。
DREAMS COME TRUEが初めて手がけたドラマ主題歌は、TBS系ドラマ『卒業』(1990年/出演・中山美穂、仙道敦子など)の「笑顔の行方」だった。大学の卒業、就職の時期を迎えた男女の姿を描いたドラマと、〈卒業アルバムの~〉ではじまる「笑顔の行方」は見事にマッチ。この曲でドリカムは初のシングルチャートTOP10入りを果たし、本格的なブレイクへと突き進んだ。
その後も「晴れたらいいね」(NHK連続テレビ小説『ひらり』1992年/出演・石田ひかりなど)、「WHEREVER YOU ARE」(TBS系ドラマ『長男の嫁』1994年/出演・浅野温子、石田純一など)などを担当してきたドリカム。90年代中盤のドリカムのドラマ主題歌のなかで、もっとも大きな話題を集めたのはTBS系ドラマ『愛していると言ってくれ』(1995年/出演・豊川悦司、常盤貴子など)の主題歌「LOVE LOVE LOVE」だろう。聴覚に障害のある画家と女優を目指す女性の純愛を描いたこのドラマは、平均視聴率20%を超える大ヒット。愛することの切なさ、美しさを歌い上げた「LOVE LOVE LOVE」も200万枚を超えるセールスを記録し、ドリカムの最大のヒット曲となった。
また、99年からスタートした『救命病棟24時』(出演・江口洋介、松嶋菜々子など)シリーズも、DREAMS COME TRUEの歴代ドラマ主題歌を語るうえで絶対に欠かせない作品だ。第1シリーズから第5シリーズを通し、すべての主題歌をドリカムが担当。第1シリーズ「朝がまた来る」(1999年)、第2シリーズ「いつのまに」(2001年)、第3シリーズ「何度でも」(2005年)、第4シリーズ「その先へ」(DREAMS COME TRUE feat. FUZZY CONTROL/2009年)、第5シリーズ「さぁ鐘を鳴らせ」(2013年)と、いずれもキャリアを代表する楽曲ばかりだ。
特に印象的なのは、ファンからの強い支持を獲得している「何度でも」と「さぁ鐘を鳴らせ」。どちらもリスナーの心と身体を根本からライズアップしてくれる、極上のパワーソングだ。デビュー以来、一貫して“恋から愛まで”をテーマに掲げ、人を好きになり、愛することの素晴らしさ、悲しさ、美しさ、そして、ときには痛々しさや醜さまでも描き出してきたドリカムは、2000年代に入ってから、リスナーの心に寄り添い、力強く励ます歌を生み出すようになった。『救命病棟24時』とのコラボレーションが、吉田美和の歌詩に大きな変化をもたらしたことは想像に難くない。
「何度でも」「さぁ鐘を鳴らせ」はライブでも大きな感動を生み出し続けている。昨年行われた4年に1度のベストヒットライブ『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2019』でもライブの後半で続けて披露(「朝がまた来る」→「さぁ鐘を鳴らせ」→「何度でも」と『救命病棟24時』主題歌をつなげる演出だった)。全身全霊としか言いようがない吉田美和のパフォーマンスーーライブ終盤にも関わらず、信じられないエネルギーを発するーーそして、歌詩の一つ一つをオーディエンスに直接手渡すようなボーカルが生み出す感動は、『ドリカムワンダーランド 2019』のハイライトだった。特に吉田が人差し指を掲げ、〈10001回目は何か 変わるかもしれない〉と叫ぶように歌う「何度でも」はいつ聴いても感涙必至。その様子はぜひ、『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2019』ライブDVD/Blu-rayで体験しほしい。