電気グルーヴ、様々な名曲がバイラルチャート席巻 サブスク&MV復活の歓喜が示した“リスナーに求められ続ける理由”

 先週“制裁”を終え、再び解禁された彼らの音源。ランクインした11曲の中でも上位を占めるのは「Shangli-La」、「虹」、「N.O.」など、メロウな曲が中心。特に「虹」や「N.O.」については、彼らには珍しく、歌詞も読解可能な内容。どちらも刹那を歌っているが、前者は刹那の向こうに希望をロマンチックに表現。後者は刹那の中のやるせなさをリアルに、だが愛嬌たっぷりに表現している。ピエール瀧が手掛け、ライブでもピエール瀧の見せ場となる「富士山」が25位にランクインしているあたりにも、電気グルーヴの音楽を待っていたリスナー達の想いが込めやすい曲が、多く再生されているのがわかる。

電気グルーヴ「虹」
電気グルーヴ「N.O.」
電気グルーヴ「富士山」

 また現時点での最新アルバム『30』からは「いちご娘はひとりっ子」が上位にランクイン。彼らの楽曲の中でも、かなり変わり種のこの曲は、アイデアが冴えるクールでコケティッシュな1曲。彼らの音楽的頭脳が、絶え間なくアップデートされていることに敏感に反応するリスナーが、数多くいることを裏付けている。

電気グルーヴ「いちご娘はひとりっ子」

 個人的に最も印象深かったのは、50位に「Niji - Paul van Dyk's Pot Of Gold Remix」がランクインしていること。ヒット曲やシングル曲、ライブのキラーチューンに並び、リミックス曲がランクインしてくるなんて、じつに電気グルーヴらしい。というかもっと言ってしまえば、本当にテクノならではの結果だなと思って、嬉しすぎてちょっと切なくなってしまいました。

電気グルーヴ「Niji - Paul van Dyk's Pot Of Gold Remix」

 果てさて、電気グルーヴ。今週、50位にチャートインした曲だけでも聴いてみて欲しい。どの曲もダンスミュージック。テクノミュージック。されどどの曲もアイデアもアプローチも違う。わけわからんと思うかもしれない。でもそれでいいのです。そこが、電気グルーヴのいいところ。果てさて、あなたが聴いた電気グルーヴはどんなダンスミュージック?

■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル(新中野駅から徒歩2分)始めました。
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