嵐 松本潤、ジャニーズWEST 藤井流星も師事する演出家としての顔 後輩の育成でも手腕を発揮?

全てはファンのために 寸暇を惜しみ完璧を目指す“嵐コン”

 印象的だった嵐のコンサートでの演出をいくつか振り返ってみたい。ファンの度肝を抜いた『ARASHI LIVE TOUR 2014 THE DIGITALIAN』の「ファンライト」と命名されたうちわ型の自動制御のペンライトによる演出。会場全体を埋めるペンライトの色が様々に変化し生み出す一体感ある景色が印象的だった。この自動制御による演出は年を追うごとに鮮やかに進化し『ARASHI LIVE TOUR 2016-2017 Are you Happy?』では嵐メンバーが乗ったオープンカーが会場を巡る際、スタンドのペンライトが夜景を描きファンを驚かせた。『ARASHI LIVE TOUR 2014 DIGITALIAN』ではメンバーの筋肉の動きで音やペンライトを制御するという高度な演出も話題となった。

 松本の演出の特徴は、ただ最新鋭の技術を取り入れるだけではなく、それによりいかにファンに寄り添い、喜んでもらえるかが常に念頭にあることだ。それを具現化した代表的な演出が『ARASHI LIVE TOUR 2017-2018 「untitled」』で登場した2083インチの可動式巨大LEDビジョンである。広いドームのスタンド上段にいても、肉眼で鮮明な嵐を見ることができたとファンは歓喜。またそれだけでなく一部の座席から視界を妨げていた天井から吊るされたスピーカーをモニター上段に設置。どの座席からもストレスフリーでライブ鑑賞をすることを可能にしたのだ。この巨大モニターはそれ以後、他のジャニーズアーティストも採用し好評である。

 そんな松本のライブ演出にかけるスタンスは想像を絶するほどストイックだ。その姿は現在Netfilixで配信中のドキュメンタリー『ARASHI's Diary -Voyage-』でも見ることができる。深夜に及ぶ打ち合わせの風景や、妥協を許さない松本の姿、またある時は時間がないからとホテルに戻らず、簡素なベッドで会場に泊まり込むなど、トップアイドルらしからぬ姿に驚かされる。

 これだけ多忙な日々の中でも松本は後輩から頼まれればライブに足を運び、アドバイスをしたり、実際に演出に携わることも。King & Princeについては1stコンサートから演出のアドバイスを行い、2019年に行われたコンサートでは実際にムービングステージを使った迫力ある演出で彼らの魅力をより一層引き出してみせた。

 演者としての松本にももちろん期待したいが、今後は後輩の育成やコンサート演出などでもその手腕を発揮してもらいたい。

■北村由起
ライター・エディター。出版社勤務、情報誌編集長を経てフリーに。情報誌、webマガジン、ムック等を中心に執筆。ジャニーズウオッチャー。@yukkisetouchi

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