小野友樹が『キズナライト』に閉じ込めた深い絆 堀江晶太、天月-あまつき-、少年T、みきとP参加の配信EP全曲レビュー

 ラストを飾るのは、小野自身が作詞・作曲した「いつか君が笑うなら」。もともと自作の曲は入れず4曲構成の予定だったが、「キズナライト」を聴いたことで気持ちが変わり、エンディングにあたるものを作りたいと形にしたのがこの曲だ。ピアノとストリングスを取り入れドラマティックに展開されていく同楽曲は、「キズナライト」のオープニングらしい威勢の良さと対をなしているようでもある。歌詞も、〈聴こえるかい〉と呼びかける「キズナライト」に対して、〈聴こえたその声 何千何万人を貫いてできることはただひとつ 大声で答えるよ〉と歌われていて、アンサーソングのようなつくりになっている。

 バラエティ豊かな5曲からなるEP『キズナライト』の楽曲には、クリエイターたちの「らしさ」が詰まっている。それぞれの個性が引き出せたのは、小野が各クリエイターと向き合い、関わり、関係性を作りあげてきた賜物なのだろう。

 1曲目の「キズナライト」から始まり、「いつか君が笑うなら」へと繋がっていくこのEPの構造は、声優の仕事から新たな関わりが生まれ、音楽のジャンルへと広がり、受け取ったものを自分のエネルギーに変えていく小野自身の姿勢にも通ずる部分がある。きっとこの先も絆の輪を広げ、新しい可能性を切り開きながら、前に進み続けてくれることだろう。

■満島エリオ
ライター。音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。
Twitter(@erio0129

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