小野友樹が『キズナライト』に閉じ込めた深い絆 堀江晶太、天月-あまつき-、少年T、みきとP参加の配信EP全曲レビュー
声優として第一線で活躍し続ける傍ら、精力的にアーティスト活動も行っている小野友樹が6月10日、配信EP『キズナライト』をリリースした。制作陣を飾るのは、堀江晶太、少年T、天月-あまつき-、そしてみきとP。小野自身が憧れたという歌い手、ボカロシーンで活躍するメンバーを集めたこの作品は、テーマとして掲げられた「絆」の通り、小野がたぐり寄せた絆によって織り上げられた一作になっている。
表題曲でもある「キズナライト」を手がけたのは堀江晶太。PENGUIN RESEARCHのベースであり、kemu名義でボカロPとして数多くのヒット曲を生み出してきた人物でもある。2人はPENGUIN RESEARCHのボーカル・生田鷹司を通じて親交が生まれた。
「ライブで一発目に歌いたい曲」という小野のオーダーをもとに作られたこの曲は、リード曲にふさわしい、明るく疾走感のある正統派ロックチューン。〈一人じゃない 一人じゃないと呼びかける歌が聴こえるかい〉〈この声で伝えていくよ 遠くなっても届くといいな 寂しさを越えられるように〉というフレーズは、声を武器にする小野ならではの表現を感じさせ、実に印象的だ。人と思うように会うことができず、孤独が募りがちな今の世の中に向けたエールのような1曲となっている。
2曲目の「エリミネイト」を作詞作曲した少年T(佐香智久)とは、小野が出演したアニメ『君と僕。2』(テレビ東京系)の主題歌を佐香が担当したのが出会いのきっかけ。“歪んだ絆”というひねった依頼に応えた「エリミネイト」は、高速BPMの中をシンセサイザーが跳ねまわる、ボカロシーンをダイレクトに感じる楽曲に仕上がっている。
続く「GIFT」を手がけたのは天月-あまつき-。「ザ・キラキラソングを」という小野の依頼通り、小気味いいアップテンポのメロディに、ストレートでてらいのない詞が重なった「GIFT」には、爽やかでポジティブな楽曲を得意とする天月-あまつき-らしさが存分に詰まっている。
そして4曲目、「喪失-愛の温度-」を担当するのはみきとP。kemuと同じくボカロPの代表格とも言える存在だ。関わりのきっかけは、小野が担当したキャラクターソングをみきとPが書き下ろしたこと、そしてTVアニメ『ACTORS -Songs Connection-』(TOKYO MX系)の企画で、みきとPの代表曲『ロキ』を小野が歌ったこと。シリアスな曲からロックテイスト、ポップソングまで幅広い楽曲を生み出すみきとPだが、「喪失-愛の温度-」はギターを利かせた切なさ募るラブソングで、しっとりと歌いあげる小野の声が聴きどころだ。