すとぷり、6人の“声”の個性が生み出す絶妙な一体感 ソロ曲と「マブシガリヤ」から解説

すとぷり「マブシガリヤ」

 6人もいれば誰かしら似たようなタイプがいそうなものだが、すとぷりは全員の声が非常に個性的。そして何と言っても、この6人の声が集まったときの絶妙な一体感が彼らの楽曲の核になっている。先日配信リリースされたばかりの「マブシガリヤ」を聴いてみよう。

 アカペラグループのような綺麗なハモりを見せるゴスペル風のイントロ。高い声から低い声のメンバーまで、バランスよく所属しているすとぷりならではの瞬間だ。歌に厚みが感じられる。

 次にやってくるのがA〜Bメロ。60年代のモータウン系のポップスをJ-POPに落とし込んだようなサウンドのこの部分では、削ぎ落とされた音の隙間に各メンバーがひとりずつソロで歌い分けていく。まずはリーダーのななもり。が優しく先陣を切り、続いてジェルが持ち前の大人な雰囲気を漂わせることで曲の世界にリスナーを引き込む。そこで〈敵〉というワードの含まれる少し強めのフレーズを、特有の存在感のある莉犬が歌うことで聴き手の耳をキャッチ。それをころんが繋ぎ、さらに、さとみ→るぅととグループの兄弟的メンバーが歌い継いでいく。6人それぞれの歌声が浮き立つ作りだ。

 そして全員が一体となるサビ。イントロと違ってサビではユニゾンなのもポイントで、それによってパンチ力が増している。6人が一緒になって歌うことで、“メンバー全員で”聴き手の背中を押しているような一体感が生まれているだろう。

【MV】マブシガリヤ/すとぷり

 多くのアイドルグループも同じようにソロのマイクリレーからユニゾン歌唱へと移っていく展開を見せるが、すとぷりは声の個性が強いため、この展開の強みがより一層活きているように思う。結果、彼らの声の魅力が存分に味わえる楽曲になっている。

 破竹の勢いで成長しているすとぷり。彼らの魅力は、6人の際立つ“声”の個性と、そのバランス、そしてそれを活かした楽曲にあるのだ。

■荻原梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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