King & Prince、イメージを刷新する大胆でクールな「Mazy Night」の魅力 楽曲、ダンス、MVから徹底分析

King & Prince「Mazy Night」徹底分析

 King & Princeの新曲「Mazy Night」は、これまでのグループのイメージを一新し、大胆な変革を遂げた楽曲と言っていい。「シンデレラガール」をはじめ、笑顔の似合うスウィートで爽やかな曲を歌ってきた彼らが今回挑んだのは、クールな表情で決め込むダンサブルなEDMナンバー。メンバーが見せた新たな表情にますます惹きつけられたファンも多かったことだろう。デビューから2年、押しも押されもせぬ人気グループへと成長を遂げているKing & Prince。その新曲「Mazy Night」の魅力を探るべく、楽曲、ダンス、MVの3方向から、3名のライターによるクロスレビューで分析していきたい。(編集部)

1. イメージを真逆に反転させる楽曲

 端的に言って大きなイメージチェンジだ。サウンドはダイナミックなEDM。それも北欧出身のダブステップ系DJが使いそうな音がふんだんに盛り込まれたもので、スタジアム級の大会場を激しく揺らすような迫力がある。これまでの彼らのイメージが“白馬に乗った王子様”だとすれば、今作は“闇を切り裂く黒騎士”。白から黒へと真逆に反転している。

 そして、EDMのマナーとJ-POPのフォーマットとが違和感なく融合しているのもポイントだ。サビの部分をダンスだけにして歌詞をなくしたりなどということはせず、近未来的なエレクトロニックサウンドを背景に、歌を聴かせ、歌で盛り上げることに徹している。あくまでJ-POPの範疇でドラスティックな変化を見せる姿は、『THE DIGITALIAN』(2014年)期の嵐を彷彿とさせる。

 これまで高めの声で聴き手をやさしく包み込むように歌っていた彼らも、今作では何かを模索しているような低めの歌声が目立つ。さらに、歌詞で印象的なのは英語の多さだ。これまでの表題曲と比べると段違いに英語が使われている。その結果、詩的な表現というよりはむしろ、リズム感の重視されたダンスチューン的要素が強まっている。この変化には彼らが度々口にしている「海外進出」への意識を感じ取れる。より大きな会場、よりたくさんの人々に届けたいという想いが作品にも表れているのだろう。

 “mazy”とは“迷路のような”や“入り組んだ”という意味。これから彼らが向かう未来が険しい道のりであることを予感させる。先日、Sexy Zoneが海外進出を視野にレーベルを移籍したように(参考:Sexy Zone、嵐に次ぐ海外展開への期待 ユニバーサル移籍後の活動を占う)、彼らもまた変化の季節を迎えているのだろう。変化は苦しく、時に痛みも伴うが、それがなければブレイクスルーは得られない。今作から感じ取れる変化は、彼らが目指すさらなる高みへとつながる重要な布石だ。(荻原梓)

2. 一糸乱れぬダンスパフォーマンス

 デビュー曲の「シンデレラガール」から4thシングル表題曲の「koi-wazurai」まで、King & Princeのパフォーマンスに共通する凄さは、とにかく“振り付けの細かさ”だと思う。

 大抵のアイドルの曲は、コンサートでファンも一緒に踊れるように、特にサビの部分は手振りだけの簡単な振り付けになっていることが多い。しかしKing & Princeは、そんなアイドル界のセオリーなどお構いなしに、高難易度の細かい振り付けを用意してくる。

 それは、新曲「Mazy Night」でも健在だ。さらに今作は、平野紫耀が中島健人(Sexy Zone)とW主演を務めるドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)の主題歌。ドラマのストーリーに合わせてか、手の動きやフォーメーションチェンジなどにおいて、警察をイメージしたダンスが取り入れられている。より一層、一糸乱れず踊らなければ雰囲気が出ないところだが、彼らにはお手の物のようだ。

 特に目を見張ったのがBメロの、ターンをしながらフォーメーションを変えるという振り付け。静かなAメロが終わり、サビに向かって一気に曲が動き出す大事なパートだが、ターンの速さまでしっかり揃えて踊る姿に圧倒される。

 そのままアップテンポなサビで激しいダンスを見せ、間奏ではまたゆったりとした動きに戻る。何度も「緩」と「急」が繰り返され、まるでジェットコースターの上昇と急降下を繰り返しているようで、次はどうなるのか最後まで息がつけない。

 平野紫耀、岸優太、髙橋海人と、ジャニーズJr.時代からダンスに定評のあったメンバーが多いKing & Prince。しかし一方で、Jr.時代はそこまでダンスの印象がなかった永瀬廉、神宮寺勇太が、前述の3人と振りをしっかり揃えて踊っている姿は、彼らがデビューしてからも慢心せず、努力を続けてきた証のように感じる。

 「シンデレラガール」に始まり、「Memorial」「君を待ってる」「koi-wazurai」と、新曲を出すたびに団結力を強めてきたKing & Prince。その先にあったのが、今回の「Mazy Night」での息の揃ったパフォーマンスなのだろう。(古河京佳)

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