怒髪天が今“がんばれ”を歌う意味 『チャリーズ・エンジェル』『THE JAPANESE R&E』で届けるシリアスとユーモア

怒髪天が今“がんばれ”を歌う意味 『チャリーズ・エンジェル』『THE JAPANESE R&E』で届けるシリアスとユーモア

 怒髪天が贈る配信作品『チャリーズ・エンジェル』『THE JAPANESE R&E』は、誰もが不安に襲われる毎日を送っている今だからこそ聴きたい、怒髪天らしいシリアスとユーモアに溢れた作品となっている。

 『チャリーズ・エンジェル』は先日、通販限定でリリースされた“ほぼ一発録り”作品『明日に向かって漕げ!』に収録された新曲3曲の正式レコーディング版に、さらなる新曲を2曲加えたものだ。そして、『THE JAPANESE R&E』は、既存曲の英語詞バージョンという想像の斜め上をいく斬新な内容である。

 『チャリーズ・エンジェル』収録の「孤独のエール」は、怒髪天らしい大らかなメロディを描きながら、〈がんばれ!〉というシンプルで、だからこそ深みのある言葉が何度も響く曲だ。アーティスト、表舞台に立つ人間がこの〈がんばれ!〉を発することは、大きな意味と責任が伴う。X JAPANのhideはかつて「“がんばれ”は突き放してる感じがするから、“(一緒に)がんばろうぜ”って言う」と口にしていたし、怒髪天と同郷でレーベルの後輩バンド、BUGY CRAXONEのすずきゆきこ(Vo/Gt)は、バンドを20年やってきて「“がんばれ”を歌えることが、いま私がいちばん誇りを持っていること」だと語っていた。(参考記事:BUGY CRAXONEが語る、結成20周年で見えたもの「“がんばれ”を歌えることが一番の誇り」

怒髪天「孤独のエール<即出しデモ>」試聴

 では、今ここで怒髪天が〈がんばれ!〉を歌う意味とはなんだろう。

 怒髪天は中高年の等身大ともいうべき、いわゆる“おっさん”のリアルを体現しているバンドだ。そこにロックバンドの“カッコつけ”は存在していない。理想も掲げなければ、説教じみたこともない。人にああしろ、こうしろなんて言うことなどない。ただ〈生きてるだけでOK!〉〈オトナはサイコー!〉と歌い、「俺たちもみんなと同じでつらいこともあるけど、とりあえず楽しいよ!」という姿を見せてくれるバンドである。そんな姿を見て、我々リスナーは心強さを感じ、安心感を得る。時には背中を押される。

がんばれ! がんばれ!
それは自分に向けてだけ
独りうつむいて 拳を見つめて
小さくつぶやく言葉

 誰に向けているわけではない、自分に向かってエールを送っているのである。誰が悪いわけでもない、このやり場のない歯痒さを、耐えるしかない気持ちを、歌にしている。まさに今誰もが置かれている現況になぞらえたくなるはずだ。

〈逃げなかったわけじゃなくて 逃げられなかっただけだよ〉

 己を鼓舞するために言い聞かせているのだ、〈がんばれ!〉と。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる