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『ふぁいとSONGS』インタビュー

BUGY CRAXONEが語る、結成20周年で見えたもの「“がんばれ”を歌えることが一番の誇り」

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 昨年、バンド結成20周年を迎え、渋谷クラブクアトロでのワンマンライブも盛況に終えたBUGY CRAXONE(以下、ブージー)のニューアルバム『ふぁいとSONGS』は、“がんばるみんなに捧げる”全10曲。ロックバンドとしての力強さを感じさせながらも、随所に散りばめられた遊び心にブージーらしいのびやかさと大人の余裕が表れている。すずきゆきこ(Vo/Gt)に、アルバムのことはもちろん、女性バンドマンとして、紅一点のフロントマンとして、走り続けてきた自身の“ナイスな生き様”について、とことん迫った。(冬将軍)

「各々が決めた覚悟みたいなものが集結したアルバム」

ーーバンド結成20周年、渋谷クラブクアトロワンマン、という大きな節目を迎えた後のアルバムですが、制作にあたり、これまでと心境の変化はありました?

すずきゆきこ(以下、すずき):みんなで「21年目はどうする?」みたいな話はしてなくて、わりと自然に曲作りを始めたんです。私は、バンドが20周年というのもありつつ、自分の年齢も今年で40歳になって「好きで始めたバンドが、今も続いています」だけじゃイヤだなと思ってました。メンバーも口には出さないけど、そういうことを考えていたと思うんですよ。各々が決めた覚悟みたいなものが集結した、というのはアルバムを作って感じました。

ーーここに来て、さらに振り幅が広がった印象を受けました。遊び心や、初期の頃のようなギターのサウンドメイクが垣間見えたり。

すずき:今年2月に、クアトロでやらなかった曲を演るワンマンをやったんですけど、そこに向けてこれまでの13枚のアルバムを遡ってコピーしたんです。誰かとコラボしてるのも含めて全曲。我々、歳を重ねるごとに曲がどんどんシンプルになってるんですけど、それを逆に進んでいったから、「こんな手の込んだことをやってたのか」「これは難しすぎて伝わりづらかったね」とか、そういうことにだんだんと気がついていって。それがあったから、アルバムに向けて「そろそろ曲出ししようかね」という時点で、もう柱になる曲が出来ていたんです。それぞれがここ1年で感じたことが自然と曲に表れていた。「大きく成長したぞ」と思えるようなものを作りたい、という気持ちは毎回あるんですけど、いつもとその度合いが違った。それはやっぱり20周年があったからだと思います。

ーー1曲目「わたしは怒っている」の、より図太くなったビートに表れてますよね。それに普通であれば、ギターがコードで埋めていくアレンジへいきがちだと思うんですけど、そこにいかないのもブージーらしいなと。

すずき:笈川(司/Gt)くんが原曲を持ってきたときは、コードメインでシンプルな感じだったんですけど、メロディや、歌が掛け合いになっているところがすごくキラキラしている曲だなと思ったんです。それをストレートなところに持っていくのはなんか勿体ないなと思って。

ーーそういう“ブージーらしさ”って、狙ってるところもあるんですか?

すずき:変なさじ加減ですよね。曲にしてもアレンジにしても、自分たちの落とし所は感覚的にわかっているから。「ぼくらはみんなで生きている」も、もっと今っぽく派手な音で煌びやかにすることもできたけど。笈川くんのギターも、あえてあそこまでチープな音にしたというのは、ブージーとしての着地点が見えていたからだと思うし。

ーー“歪んでいないギター”を鳴らすバンド自体が珍しいし、それでいて出す音は図太い。音楽性も海外のオルタティブロックをにおわせながら、日本の童謡的な響きもある不思議なバンド、ということをあらためて感じさせられました。

すずき:私たちは洋楽ライクでもないし、かといってJ-ROCKのメインストリームでもないし。変なところに立っているバンドだなという自覚はあるんですよ、ふふふ(笑)。でも、のびのびやってる結果がこうなので、それが自分たちらしいところだなとも思います。

ーー資料の中にメンバーによるライナーノーツがありますが、XTCやNed’s Atomic Dustbinといった具体的なバンド名が出ています。そういったルーツをはっきり打ち出すことは珍しいですよね。

すずき:その辺は今回のびのびやったんです。具体的なバンド名を出しちゃうと、そういうイメージで聴かれちゃったり、レコーディングだとそこに寄せすぎちゃったりするから今まではやらなかったんです。とはいえ、練習しているときは「最近こういうの好きなんだよね」なんてみんなで聴いたりするから、今回はあえてそうするようにしました。いい意味で図々しくなったと思うんですよ。

ーーちなみに、アレンジはデモの段階で出来上がっていることもあるのですか?

すずき:笈川くんはわりとみんなを泳がせる余地を持たせてますね。私は作っている段階で完成形が見えてる曲が多いです。これはハッキリしていて、2人とも全然違うな、うんうん。私のはもう、こうしかなりようがない……みたいな、へへへ(笑)。

ーーアルバム要所要所に見られるパーカッション類の入れ方も絶妙ですよね。

すずき:我々の持ち楽器以外のセットみたいなものがあって、タンバリンとシェイカーとカスタネットと鈴と……それを今回はフルで使いましたね。

ーー「ぼくらはみんなで生きている」のギターリフに絡むグロッケンなんて最高です。

すずき:気合いの入ったシティポップ感があるでしょ? 一気に昭和になる感じ(笑)。

ーーブージーの持っている余裕というか、肩肘張らない姿勢がそうしたアレンジに上手く落とし込めてますよね。

すずき:20周年を経て最初に作るアルバムが、粛々とおごそかな内容にならなくてよかった。ここにきて「急にふざけるの!?」みたいな(笑)。我ながら「バッカだなぁ」って思いますね、ふふふ(笑)。

ーー総じて、若いバンドには出せないものだなと思いました。

すずき:でも、私たちが出せないものを彼らはやってるわけだから(笑)。

ーー変な話ですけど、「最近の若いバンドは~」みたいなこと、思います?

すずき:あー、ない!(笑)。うまい! みんなホントうまい! いい音で録ってるしねぇ。尊敬の眼差しですよ。今回、DYGLとか参考にしたりね(笑)。自分たちの音にフィードバックできるとは思ってないけど、「いまのバンドはこんなにいい音でいい曲やってる」ということをみんなで共有したかった。いつの時代にも若者がいて、大人がいて……。

ーーいつのまにか、自分たちが“大人の側”になってる!?……みたいな。

すずき:“対バン子供化現象”でしょ? アハハハハハ(笑)。

ーー(笑)。ロックシーン自体が80年代~90年代と変わってきているじゃないですか。20代だったバンドが40~50代になって、それを聴いているリスナーも歳を重ねて「ロック=若者の音楽」という図式ではなくなった。ブージーしかり、怒髪天のようなバンドもいたり。

すずき:怒髪天もブージーも、“人生”や“生命”を歌っているバンドですが、恋愛をメインに据えて曲を書いているバンドがどうなっていくのか。一定のところをキープしている人たちはいるじゃないですか。でも、等身大のラブソングを歌ってきた人たちが、どんどん年齢を重ねていって生み出すラブソングは、どういう深みを増していくのか……すっごく楽しみ。「彼氏と彼女」だったのが、「夫と嫁」に置き換えられていくのかな? とかね(笑)。

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