JUJU、チャート1位獲得ベスト盤から伝わる“あなた”へ歌を届ける姿勢 9年ぶり『SONGS』出演も

JUJUが“あなた”へ歌を届ける姿勢

 JUJUが、『BEST STORY 〜Love stories〜』『BEST STORY 〜Life stories〜』(2012年)以来、8年ぶりにリリースしたベストアルバム『YOUR STORY』。本作は、発売するやいなやオリコン、billboard JAPANともにチャートで1位を獲得し、その後4週が経過した今もTOP3を記録し続けている。女性ソロアーティストとしては今年度初(※2019年12月23日付~)のオリコン週間アルバムランキング1位となるなど、改めてその求心力の高さを印象付けることとなった。

 本作で驚くべきはそのボリューミーさで、ドラマ主題歌11曲に映画主題歌7曲と、さまざまな作品を彩ったタイアップ楽曲に加え、「あざみ」、「Stop Motion」という2曲の新曲も収録。昨年開催したホールツアー『YOUR REQUEST』でリクエストの多かった曲やアルバム新録も含む全52曲を4枚組にパッケージした。アルバム全体を“Theater JUJU”というシネコンに見立て、ディスクごとに「Theater RED」「Theater PURPLE」「Theater PINK」「Theater BLUE」と4つのスクリーンをイメージ。「RED」は“大きな愛”、「PURPLE」は“ままならない想い”などテーマを設定し、収録する楽曲をセレクトしていったという。ヒット曲の詰め合わせで構成されるベスト盤が多い中、一気通貫したコンセプチュアルな仕掛けは、ひとえにJUJUのクリエイティビティの為せる技。歌だけを届ける役割から一歩踏み込み、ものの考え方や感じ方もすべて引っくるめ“JUJUワールド“にどっぷりとつかってほしいという思いで制作されたのでは、と想像する。デビュー16年目を迎えたJUJUのこれまでを総括しながらも、長く聴き続けられるような作品だ。

 「ファンを楽しませたい」、そんな思いは、いまや彼女のモチベーションのひとつだ。ツアーともなれば全国津々浦々を訪ね、リクエストやカバー曲だけで構成されたライブも定期的に行い、TVやラジオへの出演時は軽妙なトークでその場を盛り上げる。彼女の目線の先には常に聴いてくれる誰かがいて、そこに向けて歌を届ける姿勢がブレることはない。本作に名付けられた『YOUR STORY』というタイトルも象徴的だ。なぜJUJUは自身のアルバムに、“あなたの物語”と名付けたのか。それは、自分を支えてくれたファンたちにリスペクトを捧げ、これからも共に歩んでいこうというメッセージを込めたからではないだろうか。その証拠に本作のリリースにあたり、JUJUはこのようなコメントを発信している。

「デビュー当初は誰に向かって歌っていいのかわからなかった時もありました。でも3枚目のシングル『奇跡を望むなら...』の時に初めて聴いてくださっている方々からお便りをいただいてからは、誰かが聴いていてくれることを知る喜びに気づき、それ以降はみなさまの聴きたいものを歌いたい…ストーリーテラーとして1曲1曲ひとつひとつの物語をメロディーに乗せてお届けしたい…と思いながら歌を紡いでまいりました。そして私が紡いできた物語の主人公はいつだって聴いてくださるみなさまでした」

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