サカナクション 山口一郎、コロナ禍にアーティストが発言することの重要性に言及「リスクがあるけど議論を生むのは必要」

 4月18日、ニッポン放送で特別番組『いま、音楽にできること』が放送され、エンタメ・音楽業界の主要3団体のトップ、及川光博、MISIA、山口一郎(サカナクション)、Little Glee Monsterが生出演。新型コロナウイルスの影響を受ける業界の現状と今後について語った。

 前半は、一般社団法人日本音楽事業者協会会長・堀義貴氏、一般社団法人日本音楽制作者連盟理事長・野村達矢氏、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会会長・中西健夫氏による鼎談をオンエア。堀氏は、放送冒頭に「ドラマの収録も止まり、バラエティもロケが出来ない状態になっているので、大抵のタレントは仕事が激変。ない人の方が多い」と影響を語った。5月いっぱいで、スポーツを含めるエンターテインメントの損失額は約3300億円と見られている。この数字について、中西氏は「これだけ人の動きを止めている産業はないと思います」と語った。

 安倍晋三首相からのイベント自粛要請に従い、協力してきたエンタメ・音楽業界。世間の「エンタメは生きる上で不要」という声に心を痛めてきたという堀氏は、「なくて死ぬものではないことはわかってる。でも、舞台も音楽もなくなったことを想像してみてほしい。必要な人もいるんだってことは想像してほしい」と語る。中西氏は「100社以上が関わっているフェスもある。そこにまつわる人たちの生活をアーティストたちは支えているということを理解していただきたい」と訴えた。

 ライブハウスが受ける影響も大きく、先日は北海道・札幌にあるライブハウスCOLONYが、4月末での閉店を発表。中西氏によると、あと半年で日本中のライブハウスが同じ状況に陥るという。堀氏は、「アメリカでは、どんなミュージシャンにも補助金が一気に振り込まれている。日本はそういう試みがない」と問題点を指摘。中西氏からは、「ドイツの(文化)大臣は『文化芸術を守ります。あなたたちを見捨てません』と発信していた。そういうメッセージが日本にはない」と、業界に対する日本政府の姿勢に疑問視する声も。イベント自粛要請の後、「#春は必ず来る」というハッシュタグと共に声明文を出した音制連の理事長である野村氏は、「コロナウイルスは一人ひとりが気をつければ感染拡大を防げる。メッセージを発表することは、エンターテインメントがやれる1つの使命」と想いを明かす。最後は、堀氏が「人が人を攻撃するほどに人間は追い込まれている。僕たちは1カ月前からその洗礼を受けていた。業者自体が死んでしまったら前のようには戻らない。そのためには、なんとか生き延びなきゃいけない」と締めくくった。

サカナクション『忘れられないの/モス』

 ゲストのサカナクション・山口一郎は、この危機的状況を音楽の性質をわかってもらえるチャンスだという。その理由を、「リスナーの音楽に対する知識やリテラシーが低い。例えば、MVを作った時にファンは『山口さん、天才。髪型もすごい』と言ってくれるけど、映像を作ったのは監督であり、スタイリングを作ってくれたのはスタイリスト。バックグラウンドがあまりに知られていない。そういうリテラシーのなさが、危機的状況では弊害になる」と語り、ミュージシャンによる文化の啓蒙活動の必要性を説いた。

 山口は、番組中にボブ・ディラン「Blowin’ in the Wind」をリクエスト。「時代ごとに大きな出来事があって、その裏には名曲が必ず生まれている。僕たちが、ここでどんな曲を届けるべきか意識しなきゃいけない」と語った。アーティスト自身がもっと声をあげるべきというリスナーからの声に、堀氏はマネジメントの観点から「アーティストが政治的な発言をすることで殺害予告のようなものがあると煩わしいし、それくらい危険なもの」と指摘。それに対し、山口は「僕らが何かを言うのはリスクがあるけど、議論を生むのは必要だ」と語る。最後は、「人間が最初に触れる文化は音楽だと思う。あまりに近すぎて意識できないものだと思うので、その感覚を呼び戻すことがミュージシャンとしてできること」だと締めくくった。

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