コロナ禍の今、アイドルにできることは? アプガ、吉川友ら所属事務所代表に聞く、危機的状況を突破する“秘策”

コロナ禍の今、アイドルにできることは?

 うれしい誤算もあった。ライブがなくなり暇を持て余した吉川友がイチゴやパパイヤ、トウモロコシなどの種や粒の数を数える画像をアップしたところ、ファンが「ライブができなくなったアイドルが、どれだけやることがないか世間に知って欲しい」と拡散。これがうっかりバズって「時の人」となったのだ。

「ありがたいことに取材依頼も殺到していますし、イギリスの新聞(電子版)や9GAG(ピコ太郎を世界に紹介した超有名サイト)でも取り上げていただきました。このビッグウエーブに乗れるかどうかは、僕らの魅せ方、プロモーション、運……そして本人の頑張り次第ですが(笑)。でも吉川以外のタレントも、この自粛期間で変わったなと感じることは多いですよ。アプガ(2)のメンバーはYouTubeにアップするための動画を自発的にどんどん送ってくるようになりました」

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 人々の心が弱ったとき、アイドルはすがるべき対象となると言われている。3.11の東日本大震災で国民感情が沈んだ際、底抜けに明るいももいろクローバーZが一気にスターダムに上り詰めた。またAKB48は東北地方を何度も訪問し、ファンのみならず多くの被災者たちの支えとなった。震災と違ってコロナ禍は目に見えるかたちでの復興支援がしづらいが、アイドルだからこそできることがあるのではないか。

「いつの時代もアイドルの本質は、みなさんを明るくする、元気にする、笑顔を届けること。そこはとても大事なファクターだと思うんです。"STAY HOME!"で自粛を徹底する今のタイミングだったら、家にいることの重要さを啓蒙しつつ、家にいながら笑顔を届ける方法はないのか? そこを考えていくしかない。たとえばリモートでの発信はアプガもそうだけど、でんぱ組.incさんやlyrical schoolさんも取り組んでいますよね。僕自身も今の状況でやれることはまだまだあると思ってます。こんなときだからこそ、今までに考えつかなかった方法で笑顔を届けるエンターテインメントを作っていきたいです」

 長引くかもしれないが、いつかはこのコロナ騒動にも終わりがくる。そのとき、おそらく世界にはコロナ前と違う光景が広がっていることだろう。そこでアイドルに果たされた使命は「新しい日常で笑顔を伝えていく」ということ。今以上にアイドルが世の中に光を照らす存在になっているはずだ。

■小野田衛
おのだ・まもる◎出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆を行っている。ハロプロメンバーへの取材も多数。著書に「韓流エンタメ日本侵攻戦略」(扶桑社新書)、「アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実」(竹書房)がある。芸能以外の得意ジャンルは貧困問題、サウナ、プロレス、フィギュアスケート。

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