reGretGirlが切り取る、色褪せない“失恋”の輝き リスナーが共感するリリックの力を紐解く
それから約10カ月後にリリースされた2作目『take』は、“あの頃に戻りたい”という切実な願いや、後悔の気持ちが強く表れている作品だった。「イズミフチュウ」や「黒鳥山公園」など具体的な地名も出てくるが、2人で過ごした日々が映像的に浮かび上がる曲が多い。
そして3作目『soon』になると、失恋からだいぶ時間が経ったことを感じさせる歌詞も増えた。ラストナンバー「おわりではじまり」は、同窓会で元カノと再会した時の曲。しかし〈きっとあの時に戻れないぐらい／2人は変わってしまったのだろう〉とあるように、元カノと過ごした日々はすっかり過去のものとして描かれている。これら作品の変化から見えてくるのは、感情的だった1作目に比べて2作目、3作目は恋愛の情景や心の機微の描写が細やかになったということ。つまり、俯瞰的な視線が含まれているのだ。
失恋して日が浅いうちは、食事も喉を通らないほどに打ちのめされてしまうもの。でも月日が過ぎて思い出になれば、ある程度冷静に振り返ることが出来る。そんな失恋の心の変化をなぞるように、reGretGirlの失恋ソングも少しずつ変わってきた。これは平部が自身の失恋経験と向き合い、その時々の正直な感情を曲に反映させてきた結果とも言える。人には気軽に話せないような女々しさも情けなさも、平部は誤魔化すことなく全てを歌にした。だからこそreGretGirlの失恋ソングは彼らと歳が近い世代にリアルに響いて、多くの共感を生んだのだろう。
失恋3部作を完結させ、いよいよ4月15日には新章となる1stシングルがリリースされる。表題曲「スプリング」は、演奏にも歌詞にも今までにないアプローチが感じられる作品だ。新しい日々へ歩き出す「君」の輝かしい姿と、まだ踏み出せずにいる「僕」の憂い。その光と影の対比を、春めいた爽やかなサウンドがより一層際立たせる。未練のタラタラの重い歌詞と疾走感ある軽やかな演奏のギャップは、これまでもreGretGirlにとって武器の1つだった。今作ではそのギャップが、楽曲の世界観を色付ける役割を担っている。
そして、ひときわ印象に残るのが〈新しくなった日々に似合わない／僕のことはもう忘れて〉というフレーズ。もう「君」を引き止めるような言葉は使われておらず、最後には〈一歩踏み出す姿をみて思った／春は綺麗だ〉と新しい日々に肯定的な眼差しが向けられる。きっとこれからもreGretGirlの失恋ソングは変わり続け、もはや過去になってしまった失恋の思い出をも鮮やかに蘇らせていく。
■渡邉満理奈
1991年生まれ。rockin’on.com、Real SoundなどのWEB媒体を中心にコラム／レビュー／ライブレポートを執筆。
■リリース情報
1st Single『スプリング』
4月15日（水）発売
価格：¥1,600（税抜）
CD：１、スプリング ２、インスタント
DVD：「coming soonツアーDocument & 2020.2.15@ UMEDA CLUB QUATTRO LIVE Movie」
１、12月29日 ２、キスの味 ３、テレフォン ４、おわりではじまり ５、ホワイトアウト
レーベル：No Big Deal Records
■ライブ情報
『忘れられないツーマンツアー2020 〜Spring〜』
4月15日（水）千葉LOOK
4月16日（木）水戸LIGHT HOUSE
4月18日（土）盛岡the five morioka
4月19日（日）郡山#9
4月24日（金）松本ALECX
4月25日（土）静岡UMBER
5月1日（金）滋賀U☆STONE
5月8日（金）福岡 DRUM Be-1
5月10日（日）熊本 B9. V2
5月15日（金）松山SALONKITTY
5月16日（土）徳島club GRINDHOUSE
5月28日（木）広島LIVE VANQUISH
5月29日（金）岡山LIVEHOUSE IMAGE
6月11日（木） 札幌cube garden
『忘れられないツーマンツアー2020 〜Summer〜』
7月16日（木）渋谷TSUTAYA O-EAST
7月18日（土）名古屋THE BOTTOM LINE
7月31日（金）心斎橋BIG CAT
