コレサワが『失恋スクラップ』を通して語る、ラブソングを歌う面白さ「恋愛は人間だからできる楽しみのひとつ」

コレサワ『失恋スクラップ』インタビュー

 女の子のリアルな気持ちを歌う、シンガーソングライター・コレサワのニューミニアルバム『失恋スクラップ』が完成した。タイトルどおり失恋に特化した曲が並ぶ1枚で、さまざまな失恋の物語が、ロックありダンスミュージックあり、ピアノや弦楽器での叙情的なアレンジもありとさまざまなサウンドで描かれた曲になって並んでいる。

 何よりぐっと胸に迫るのは、どの曲にも自分の視点で見て感じているかのような、リアルな光景や温度感があることだろう。女の子の、切なさというものを味わったことがある人の、繊細な琴線にスッと触れてくれるのがコレサワの巧さ。今作は、そのソングライターとしての妙味を存分に味わうことができる一作だ。(吉羽さおり)

10代の頃はカッコつけたかったし、わかりづらいことを歌いたかった

ーー今回のミニアルバム『失恋スクラップ』は、タイトルどおり失恋ソングを集めた作品ですが、こういう作品になったのは何がきっかけだったんですか。

コレサワ:集めたというよりは、集まっちゃったという言い方がわかりやすいかなと思いますね。自分自身も自分の周りでも、出会いと別れというものを考えるきっかけが多かったんです。だからそういう曲が自然とできたという流れのなかで、ミニアルバムを作る機会があってと、タイミングが良かったんですよね。失恋だけで1枚作るって、単純に楽しそうだし面白そうっていう興味やモチベーションが湧いてきたのもありますし、みんながどんな反応をするかが、楽しみだったというのもありました。

ーー一口に失恋ソングといっても、内容もサウンドもいろんなパターンがあるので、切ないけれど晴れやかな印象がありました。

コレサワ:今回5人のアレンジャーさんにお願いしてるんですけど、作品の半分以上の曲をアレンジャーさんにお願いするのが初めてなので。それが曲のバリエーションが多く感じてもらえるひとつの理由かなと思います。

ーー人選はどういう感じで行ったんですか。

コレサワ:自分が好きっていうのがひとつと、あとはどなたもお会いしたことがある方ばかりだったんですけど、たとえば、渡辺シュンスケさんは6月にリリースした「恋人失格」のレコーディングでピアノを弾いてくださっていて。そのときに初めてお会いして、すごく素敵なピアノだったので、今度ピアノが合う曲ができたらシュンスケさんにお願いしたいと思っていたんです。それはすごく楽しかったですね。あとの方々も自分が好きでお願いした方ばかりです。

ーー「Day by Day」でのHelsinki Lamda Clubとコレサワさんとの組み合わせなんて、意外性もあってとても面白いですよね。

コレサワ:はい、私は彼らのことがずっと好きで。サーキットイベントとかでよく一緒になって、挨拶する程度だったんですけど、こうしてちゃんと話をして、一緒にレコーディングに入るのは初めてでした。私的にはすごく大好きだけど、外から見たら全然ジャンルがちがう2組だと思うので。その化学反応とか、絶対面白いものになるんじゃないかなっていうのは感じていました。仕上がりも本当に大好きなアレンジになりましたね。演奏も彼らがやってくれて、エンジニアさんもいつもヘルシンキを録っている方というチームでやってくれたので、サウンドがよりヘルシンキっぽくて私はウハウハというか(笑)。好きなバンドのサウンドで歌えることってなかなかないことなので、とてもいい経験でした。

ーーこれがアルバムの1曲目で、爽やかなギターロックでパッと耳を捉えていくのもポイントじゃないかと思います。

コレサワ:失恋というテーマで最初の1曲を聴くと、めっちゃ明るいやん! ってなっちゃうかもしれないですね。入り口は華やかにというか。この曲を1曲目というのは決めていたんです。「みんな、おいでおいで!」っていう感じの曲だと思うんです。

ーーそれぞれ曲ができたとき、すでに各アレンジャー陣の顔を思い浮かべていたりしたんですか。

コレサワ:そうですね。「Day by Day」はじつは数年前に書いた曲だったんですけど、その頃はまだヘルシンキのことも知らなかったし、自分自身もこの曲はいつかCDに入れたいなというくらいだったんですけど。今回の失恋というテーマにすごく合うのと、ヘルシンキがやってくれたらこの曲がもっと良くなるんじゃないかって思ってお願いをして。あとは大体、曲ができたときにこれはこの人にやってほしいなというのが頭に浮かんだ曲が多いですね。

ーーコレサワさんのデモ段階ではシンプルにしているんですか?

コレサワ:そういう曲もあれば、なるべく私の頭のなかにある全部の音を詰めて送ったりもしますね。自分のなかのイメージが強いときは、なるべくそのイメージを音にして伝えるようにしていて。逆に何も思い浮かばないときは、歌とギターだけというものもありました。

ーー今回の中でよりイメージできていた曲というと、どのあたりですか。

コレサワ:「最後の彼女になりたかった」はイメージがあって、自分である程度バンドアレンジをやっていたんですけど。なんか歌いづらくて、しっくりこなくて納得していなかったんです。きっと川口(圭太)さんならまったくちがうイメージにしてくれるだろうなって思って、返ってきたものがその期待どおりになっていたので、それは感動しましたね。

コレサワ「最後の彼女になりたかった」【Music Video】

ーーすごく洗練された、ポップなサウンドになっていますね。

コレサワ:めっちゃキラキラしていて。川口さんは2019年に初めて出会ったんですけど、私のツボを刺激してくるアレンジャーさんで。この曲は歌詞が結構リアルだから、曲については爽やかにしたい気持ちがあったんです。出来上がったときめっちゃいいやんって思いました。川口さんのアレンジになることで、こんなに切なくなるんだっていう。アレンジャーさんのすごさは、今回いろんな方とやってみて改めて感じました。自分では引き出しが足りないし、それぞれ5人みんな引き出しが個性的な方ばかりでした。

ーーそうしたサウンド面のこだわりがあってより感情的にも振り幅のある、そしていろんなシチュエーションがリアルに浮かび上がる感覚がある作品だなと思いました。以前、Realsoundでのみゆはんとの対談で「たばこ」の話をしていたんですが。「たばこ」は19、20歳くらいでコレサワさんが初めて書いた恋愛の曲で、それまでは恋愛の曲はあまり書いてなかったという話をしていたんですね。それは、なぜだったんですかね。

コレサワ:うーん。

ーー恋愛曲、ラブソングって王道といえば王道でもありますよね。

コレサワ:なんですかね。その頃の私にとって、恋愛は確かに王道だったんですけど、何であんなに世の中の不満を歌っていたんだろうって思いますね(笑)。ませていたんだと思います。単純に、アーティストって世の中の不満を歌うものだっていうか、尖っていないといけないんだって思っていたんでしょうね。10代の頃は、カッコつけたかったし、わかりづらいことを歌いたかったというのもあると思うんです。ただ、「たばこ」とか恋愛の曲を歌ったほうが、みんなが褒めてくれたというか。自分も歌っていて楽しかったというのも大きいと思うんですけど。それに気づいて、多くなったんですかね。尖るのをやめたんだと思うんです。

ーー感情のあり方を、別のやり方で表現をしたところもあるんですかね?

コレサワ:そうですね。怒りとかも、恋愛に喩えられるんだって多分気づいたんだと思うんです。そっちの方がまろやかで、逆に伝わるんじゃないかみたいな。それはすごく思いました。

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