reGretGirlが切り取る、色褪せない“失恋”の輝き リスナーが共感するリリックの力を紐解く
恋愛にはいくつかの展開がある。出会った時のドキドキ、一緒に過ごす時間や交わす言葉がもたらす幸せ、気持ちがすれ違っていく切なさ、そして失恋の悲しみ。一般的にラブソングと呼ばれる楽曲には、恋愛における様々なシーンが描かれるものだ。しかし、頑なまでに恋愛の最後の局面である「失恋」だけを歌い続けているバンドが存在する。それが今、若い世代を中心に人気を集める3ピースロックバンド・reGretGirlだ。
「いつか有名になってフッたことを後悔させてやる」――そんな思いが込められたバンド名の通り、平部雅洋(Vo/Gt)はずっと同じ元カノのことを歌ってきた。だから失恋3部作とも言える『my』(2017年)、『take』(2018年)、『soon』(2019年)という既発のミニアルバムには、リンクする描写や共通ワードがいくつも出てくる。聴き込むほどに過去の恋愛模様は鮮明になるが、曲中の「僕」の気持ちはいつまでも一方通行のまま。そういった意味では、変わり映えのしないテーマを歌っているようにも思える。でもこの3部作を通して聴いてみると、失恋によって生じる心の変化がハッキリ感じられるのだ。
まず、初の全国流通盤『my』にパッケージされたのは、失恋したばかりでまだ整理がつかないぐちゃぐちゃな感情。バンドの知名度を一気に広げた曲「ホワイトアウト」には、生々しい別れの瞬間と動揺する「僕」の心情が映し出されている。〈目の前の海に飛び込んで溺れて死んでしまえば/罪悪感か何かで後悔させられるかな〉(「二色浜」)、〈今でも君のこと考えれば/死にたくなるほど好きなのに〉(「after」)どの曲の歌詞からも、現実を受け入れられず苦しむ様子が痛いほど伝わってくる。