ハロプロ研修生ドキュメンタリー『ハロドリ。』好評の理由 番組が映し出す育成現場の実情

ハロプロを支える鬼教官、そして先輩メンバーたち

 実際の番組内容を見ていこう。第1回目の放送内容では、今年3月に開催予定だったライブ『Hello! Project 研修生発表会 2020 3月~紡~』(新型コロナウイルス感染症による被害拡大の状況を鑑みて開催中止)に向けてのレッスンの模様がメインだった。ボーカルレッスンでは上野まり子、ダンスレッスンではみつばちまきによる指導の様子が映された。

 2人とも、各種レッスン映像や、ハロプロ研修生実力診断テストの審査員としてハロプロファンにはおなじみの存在だ。特にみつばちまき先生については、そのスパルタなレッスン姿勢が昔から有名な鬼教官だろう。なにしろ、Berryz工房と℃-uteの前身であるハロー!プロジェクト・キッズのイベント前レッスン映像(2004年)で、すでにその姿が確認できる。今回のレッスンでも、練習不足だった研修生の一人に対して「場位置が出来てないんですけど見てくださいってMCしますか?」と容赦ないダメ出しをしている。言われた子は目から大粒の涙を流す。視聴者として見ているこちらの胃がキリキリしそうな映像なのだが、こうした厳しい指導があってこそ、アイドル界ナンバー1と呼ばれるハロプロの質の高いパフォーマンスが成立している。大きく言えば、ハロプロの本質を垣間見ることができる映像なのだ。

 (余談だが、今年4月からリニューアルしたYouTube番組『tiny tiny』では、司会としてみつばちまきが出演している。普段はハロプロメンバーに厳しく接する姿しか知らなかったファンにとっては、同番組で見せる意外とおちゃめな側面は結構なインパクトだ)

 『ハロドリ。』のもうひとつの特徴として、ハロプロ正規メンバーの出番を用意しているという点がある。番組冒頭、モーニング娘。’20のリーダーにしてハロプロ全体のリーダーでもある譜久村聖から研修生全員へ、「2020年4月より研修生を中心としたテレビ番組がスタートします」と告げる場面がある。これは今までだったらつんく♂などのプロデューサーやスタッフが行う役割だっただろう。

 また、番組後半では、スタジオに集まった研修生たちの前に再び譜久村が現れ、中止になった研修生発表会の代わりにこのスタジオ内で無観客ライブ映像を収録せよと指令を出す。さらにそこへ、モーニング娘。’20の小田さくら・加賀楓、つばきファクトリーの岸本ゆめの・浅倉樹々という現役ハロプロメンバー4名がライブを見届けるために登場する。要するに、研修生たちが目指すあこがれの対象としてのハロプロメンバーを強調する演出が施されている。ハロプロの人間群像や歴史性に惹かれるファンにとってはグッと来る映像であり、そうしたツボを押さえた演出がそこかしこに見られる/あるいはこれから見られそうだという期待が、番組の高評価につながっているのだろう。

今後の放送内容はどうなる?

 第1回では無観客スタジオライブが始まる直前で番組が終わった。第2回以降では、このライブの模様や、そこにまつわる悲喜が見られるのだろう。少し気になるのは、今後の番組の展開だ。おそらく番組企画当初の段階では、3月の研修生発表会や、5月の実力診断テストを大きな柱としたうえで全体の構成を考えていたはずだ。しかし昨今の情勢でライブ中止が余儀なくされている(本稿執筆時点では、5月の実力診断テストはまだ中止の発表がなされていないが、開催はおそらく難しいだろう)。今後の番組内容どうするの? というのは誰しも思うところだろう。

 たとえば、こういうのはどうだろうか。例年の実力診断テストは会場に集まった観客がその場で投票して当日の順位が決まる。なので会場での開催が中止ならば、無観客ライブをネット上または番組上でオンエアして、ネット上で投票を募る、という方式が考えられる。まあでも、これは投票システムの構築など難しい点がいくつかあるので実現性は薄いかもしれない。

 あるいはこういった予想の斜め上を行くような番組内容もあり得るのか。ハロプロ研修生の魅力がさまざまな角度から伝わってくるような番組作りに期待したい。

■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。Twitter



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