アンジュルム 勝田里奈の卒業、そして考え得るハロプロの未来の可能性

 先月25日のパシフィコ横浜でのコンサートをもって、アンジュルムおよびハロー!プロジェクトから勝田里奈が卒業した。2009年にハロプロエッグの第7期メンバーとして加入、2011年にスマイレージの第2期メンバーに昇格という10年間のアイドル活動を全うした。

 当日の卒業コンサートは、アンジュルムの12月まで続く夏秋ライブツアー『Next Page』の中途の公演だったが、『勝田里奈卒業スペシャル』というサブタイトルが付き、ツアーでのセットリストをベースにしつつ、この日限りの特別なセトリが展開された。

 今年5月リリースのアルバム『輪廻転生 ~ANGERME Past, Present & Future~』から、それまでライブ披露されてなかった楽曲群が初披露されたのもポイントのひとつだが、他にも「恋ならとっくに始まってる」「旅立ちの春が来た」といった楽曲での勝田・竹内朱莉・中西香菜という第2期メンバー3人をフィーチャーした歌割りがひときわ印象深かった。

 アンコール明けに歌われた「とっておきのオシャレをして」は、卒業記念に制作された勝田のソロ楽曲。この曲は11月20日発売予定のアンジュルム新シングル『私を創るのは私/全然起き上がれないSUNDAY(曲順未定)』の通常盤Aに収録されるとの発表がまずあり、卒業コンサート1カ月前の9月16日にiTunes Store限定で先行配信リリースされ、卒コン前日の24日にYouTubeにてMVが公開、そして卒コン当日に最初で最後の生披露というなかなかアクロバティックな経緯があった。

[勝田里奈『とっておきのオシャレをして』(Rina Katsuta [Dressing up nicely.])(MV)

 ジャズテイストを感じさせる曲調で、過去のハロプロ楽曲ではタンポポ「わかってないじゃない」(1999年/アルバム曲/石黒彩ソロ)、モーニング娘。「好きで×5」(1999年/アルバム曲)、近年ではモーニング娘。’16「セクシーキャットの演説」(シングル曲)、カントリー・ガールズ「待てないアフターファイブ」(2018年/配信シングル曲)などが想起される。

 グループ卒業記念のソロ曲で、なおかつジャジーな曲調というと、モーニング娘。’14から道重さゆみが卒業する際に作られた「シャバダバ ドゥ~」がすぐに思い出されるだろうし、℃-uteのやはりジャズ調なシングル曲「人生はSTEP!」(2016年)の作曲・編曲を手がけていた石井浩平は、本曲「とっておきのオシャレをして」の作編曲も担当している。

 上記の諸曲に比べると、「とっておきのオシャレをして」は、いい意味で肩の力の抜けた、軽やかさがより強調されたサウンドのように思われる。ロックやJポップが帯びている熱さや力強さとはまた違った、ジャズ本来が持つ洒脱さの表出。そこから、活動初期に“省エネ”と評された勝田のパフォーマンスを連想することもできるだろう。とはいえ、現在の勝田のピッチの安定した歌声や、しなやかなダンスさばきを目の当たりにしてもまだ“省エネ”と呼び続ける人は稀だろうし、そういった言説を覆していったのが勝田のこれまでの活動軌跡だったとも言える。楽曲とメンバーのベストマッチングがここにある。

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