GRANRODEO×黒子のバスケ楽曲はなぜ長く愛される? 劇場版公開から3周年記念日を機に改めて考察

 第3期前半のオープニングテーマは、よい意味で“チャラさ”がフックになったパーティーロックチューン「Punky Funky Love」。同曲の歌詞は、次々と踏み倒していくライムが心地よく、そのテーマも先程から引き続き、恋愛について歌っている。その一方、サビでは黒子をはじめとする選手に向けて、未来へと後押しする叱咤激励を飛ばすなど、作品らしさも忘れてはいない。

 それもそのはず。この時期の『黒子のバスケ』とGRANRODEOの間柄は、もはや“信頼関係”以外の何物でもなかった。その例として、2番Aメロまで聴き進めてみよう。ここでは〈だけど Can Do ばっか聴いてんだ/だってスカしてんぜ RIMFIRE〉という過去曲の引用から、〈1期2期 前期後期/Punky Funky Love 3期〉まで、まさに“3期の曲だから3期と歌った”と言わんばかりの洒落っ気を披露。作品を長く追ってきたファンにとって、そこでニヤけるなというのが難しい話だ。同フレーズがTVアニメサイズでは流れない2番に待ち構えている点も踏まえて、GRANRODEOの巧みなバランス感に喜ばされてしまう。

GRANRODEO「Punky Funky Love」short ver.

 そのほかにも、GRANRODEOが書き下ろしたオープニングテーマは、どれも実際に歌い上げて、その開放感や高揚感に震えたくなる楽曲揃いだ。前述したような練習や試合を思わせる掛け声やエールは、作品全体を取り巻く上昇気流を強めるようでもあり、それが相乗効果として、GRANRODEOの楽曲にさらに多くの“煽り”をもたらし、ますます熱をもったナンバーが生み出し続けられるようになったのだろう。そんな互いに切磋琢磨する時間の積み重ねが歴史となり、彼らの楽曲は『黒子のバスケ』にとって、作品の顔といえる重要な役割を担うようになったのだ。

 最後に、『黒子のバスケ』が完結した今なお、GRANRODEOが同作の楽曲を歌い継いでいることも大きいだろう。彼らのワンマンライブはもちろん、毎年夏に開催される『Animelo Summer Live』などにおいて、『黒子のバスケ』の楽曲はしばしば演奏されている。そのため、たとえ作品から少し離れたファンであっても、彼らの楽曲を呼び水として、誠凛バスケ部らと過ごした日々を思い返すことシーンもあるに違いない。

 物語を盛り上げるのは言わずもがな、時には黒子や火神らの想いを代弁するように、音楽を通して作品に寄り添い続けたGRANRODEO。彼らはこれからも変わらず、『黒子のバスケ』を“Can Do”な未来へと連れて行ってくれる。

◼︎一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter:@kota_ichijo

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