乃木坂46 白石麻衣、作詞曲「じゃあね。」MVに残されたラストメッセージ 歌詞と映像から卒業への思いを読み解く
乃木坂46 白石麻衣のソロ曲「じゃあね。」のMVが公開された。
「じゃあね。」は白石自身が作詞を担当した最後のソロ曲。坂道グループにおいて、秋元康以外で作詞を担当したのは白石が初めてである。白石は2018年7月に出演した『another sky-アナザースカイ-』(日本テレビ系)にて「私、今、作詞がしたくて。音楽ができる立場に立ってるから、何かメッセージが伝えられるものを作れたらいいなと思っています」と話していたが、その夢が見事実を結んだのが「じゃあね。」である。
MVを手がけたのは白石がセンターを務める「立ち直り中」や西野七瀬のラストソロ曲「つづく」のディレクションを担当した湯浅弘章。MV公開に合わせて、湯浅はTwitterで「『とある乃木坂ファンの少女の8年間と白石麻衣の休日の1日』という構成」「歌詞の内容や意図を白石さんから聞いて映像化」と明かしており、東京サマーランドで明るくはしゃぐ白石と、過去のライブ映像やメイキングを対比させることによって歌詞に込められた白石のラストメッセージがより印象的に浮き上がってくる。
白石は2017年、25歳を迎えた辺りから卒業について考えていたというが、その思いが表れているのが
〈坂道の途中で迷ってた 時に訪れたさよなら “いつかは”と思ったって 口には出せなくって〉
〈いつもふざけ合ったあの部屋 気づけば隣にいてくれてた あなたが変えてくれたの〉
という歌詞だ。深川麻衣、橋本奈々未、生駒里奈、若月佑美、西野七瀬、衛藤美彩、桜井玲香の卒業コンサートが映し出される中で、白石はいつも隣で1期生の同期を送り出してきた。そんな白石もついに送り出される側に。
〈さよならとありがと。〉
〈さよならをありがとう。〉
最初と最後のサビ終わりにはそれぞれこのフレーズが歌われているが、前者はこれまでの卒業生への気持ちを、後者は送り出される側となった心情を、出逢いの地である乃木坂で涙ながらに歌っている。「と」「を」、「ありがと。」「ありがとう。」の少しの違いで、真逆の立場を表現するという初の作詞としては見事なテクニックだ。
〈あの夏の歌声 覚えていますか? 土砂降りでもいいよ またいつか…なんてね〉
〈せめてまだあと少しだけは あの花火が上がるまでは あの歌を歌うまでは〉
この歌詞では乃木坂46にとって夏の風物詩となっている『真夏の全国ツアー』が歌われており、本編ラストで打ち上がる花火、明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場の2会場間で開催された2018年の「シンクロニシティライブ」が思い出される。「ガールズルール」で威勢良く会場を煽っていた白石の姿が、今年の夏にはもういない。